シナモン ハーブ-スパイスとして古来より利用されてきた-イパネマおやじ
シナモン (Cinnamon) は、インド、マレーシア、スリランカに分布する樹木で、セイロンニッケイとも呼ばれます。人類が最も古くから珍重したスパイスで、ペッパー、クローブとならんで三大スパイスの一つとして知られています。ツヤツヤで、大きく丸っこい葉は観賞用としても人気が高く、園芸店でもよく見かけることがあります。
ペッパー・クローブとならぶ三大スパイス
- 分類:クスノキ科ニッケイ属 / 原産地:インド、スリランカ、マレーシア
- 学名:Cinnamomum verum (=zeylanicum)
- 英名:Cinnamon
- 別名:ニッキ、ニッケイ (和名・セイロンニッケイ)
- 常緑高木:非耐寒性(適温 15℃以上) / 草丈:5~10m
- 開花期:5~6月 / 栽培方法:地植え、鉢植え(プランター)
- 特徴
- 5~6月に小さな黄色い花を咲かせます。
- 枝の内側の樹皮を巻いたものが、シナモンスティックと呼ばれ、砕いて料理やお菓子の香り付けやパウダー状にしてアップルパイなどに加えて使うなど、もちろんスティックのまま利用もします。
- エジプトでは、紀元前の時代にミイラを保存するための、防腐剤として用いられていました。
- 日本には、乾燥されたものが8世紀頃に入ってきたのが最初とされ正倉院に保存されているそうです。生きた樹木として初めて入ってきたのは、享保年間(1716~1736年)とされています。
- 縁日の菓子などに広く利用され「ニッキ」の名前で親しまれてきました。スッキリとした独特の芳香とピリッとした刺激が、甘味との相性がよく夜店の味として、懐かしい記憶が蘇りますね。
- 葉は光沢があり、やや堅くて卵型の大きな葉姿で、縦にクッキリとした葉脈が3本入っています。
- 近縁種
- 通常は、スパイスと呼ぶのはウェルム種を指します近縁のカシア種も同様に広く利用されています。他にシーボルディー種がありますこの3種は混同されることが多いのですが各種とも異なる種です。中でもウエルム種は甘い風味があり、より上質とされます。
- カシア(C.cassia)→中国、インドシナ原産。別称は、ケイ、トンキンニッケイ、チャイナシナモンとも呼ばれます。中華独特の香辛料「五香粉・ウーシャンフェン」にも入っています。カシア種の樹皮は他の種と比較すると表面がゴツゴツした感触です。輸入されているシナモンの大半は、このカシア種です。
- シーボルディー(C.sieboldiie)→中国南部、ベトナム原産で寒冷な気候が苦手な熱帯性の植物です。霜の無い温暖な地域で栽培され、現在では南西諸島などでも見られます。和名で「ニッケイ」は、シーボルディー種を指します。
- クスノキ科キンナモムム属→250種がアジア、オーストラリアに分布しています。属名のキンナモムムはギリシア語の(キノ・巻く)と(アモモス・香料)の2つの意味からなり、芳香があり乾燥すると、”くるり”と巻く樹皮に由来するとされています。ちなみに、収穫して樹皮をはいで乾燥させて、シナモンを陰干ししながら巻き癖をつけていく、作る作業工程に由来していると思われます。
枝の樹皮を巻いたものがシナモンスティック
- 適応
- 健胃、整腸、抗菌、防腐作用、解熱、鎮痛、毛細血管老化防
- ※妊娠中は多量、長期の使用は避けましょう。
- 料理・飲み物で楽しむ
- シナモンスティックを使ったシナモンティ、アップルパイ、シナモンシュガー
- 用土
- 水はけが良く肥沃な土を好みます。腐葉土4:赤玉土6の割合で混ぜ込んだ土を使います。
- 肥料
- 生育期の4~9月の間あたえます、間隔は2ヶ月に1回を目安に、化成肥料や油かすを土の表面に施します。
- タネまき
- 種子から栽培する方法もありますが、発芽させるためには、温度や水分の管理が難しく、ここでは挿し木の苗から育てる方法をお勧めします。
- 植え付け・植え付け
- 植え替えの適時期は、生育初期の4月です。
- 1~2年に1回が目安ですが、大きな鉢に植え替えすると、いくらでも大きくなってしまいます。
- 現状より肥大させたくない場合は、切り戻しをして、今の鉢と同じサイズの鉢に植え替えますが、その際長く伸びすぎた根や、傷んで黒ずんだ根はハサミで切り詰めておきます。そして、同じ大きさの鉢に新しい用土を入れて植え付けます。
古来から温補療法に利用した薬木
- 挿し木
- 適時期は、6~7月です。
- 枝先を約10cmくらいの長さに切り、これを挿し穂にします。切り取った後、1時間ほど水に浸けて吸収させて、赤玉土を湿らせた用土に挿します。切り口に発根促進剤などを塗っておくと根が出やすくなります。
- 発根には、約1~2ヶ月かかります。鉢の置き場所は、半日陰で乾燥させないように管理します。水分の蒸発を防ぐために鉢をビニールで覆う方法もありますが、夏場の暑さで中が蒸れてしまうので注意しましょう。
- 順調に生育すると9月頃には、挿し穂はそれぞれ1本づつ小さな鉢に植え替えが出来ます。
- 種子から栽培する方法もありますが、発芽させるためには、温度や水分の管理が難しく、ここでは苗から育てる方法をお勧めします。
- 水やり
- 生育期の4~9月は土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れる位にタップリと与えます。水切れさせると弱り枯れることもあります、特に夏は要注意です。
- 鉢植えの場合は、地植えに比べて乾きやすいので注意が必要です。
- 秋を過ぎたら気温の低下と共に生育も衰えるので、乾かし気味にして、土の表面が乾いてきてから2~3日置いてから与えるようにしましょう。冬の間は、多少は乾燥しても大丈夫です。
- 手入れ
- 鉢植えの場合は、樹形が大きくなるので枝が伸びすぎたりバランスが崩れてきて、現在以上大きくしたくない時は、切り戻しをします。
- 枝を切り詰めて、しばらくして又伸びてきたら同様の作業を繰り替えしてから、鉢植えに収まるようにすることも可能です。
- 冬に寒さで葉茎が傷んだら、春になって暖かくなってから葉や茎を取り除いてから枝を切り戻します。
- 病気→特になし
- 害虫→アブラムシ 強健な植物なので病害虫の発生は少ないのですが、春に暖かくなる時期にアブラムシが発生することがあります。新芽に発生するので、見つけ次第駆除しましょう。
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- 日当たり
- 日当たりの良い場所を好みます。
- 健全に育てるには、よく日に当てることが栽培のポイントです。そのためには、温暖地以外は鉢植え栽培がむいています。
- 暑さには強い植物ですが、反面冬の寒さには非常に弱い性質です。冬でも最低5~10℃以上の温度が保てる環境が必要です。
- 霜の心配のない温暖地では露地植えでも、栽培が可能ですが一般の平地では鉢植えにして、冬は屋内に移動させて育てましょう。