タイム ハーブ-薬用や香料に利用されてきたハーブ-イパネマおやじ
タイム Thyme は、コモンタイムが属する Thtmus (テイムス)属⇒広くユーラシア大陸に分布して約350種が知られています。タイムの仲間は樹形によって、大きく2つのタイプに分けられます。
肉料理や魚料理を美味しくして消化を助ける
- 分類:シソ科・イブキジャコウソウ属 / 原産地:地中海沿岸
- 学名:Thymus vulgaris
- 別名:コモンタイム、ガーデンタイム (和名:タチジャコウソウ)
- 常緑性小低木・立性タイプ・耐寒性 / 草丈:20~40cm
- 開花期:5月下旬~8月下旬 / 栽培方法:地植え、鉢植え
- ※ここでは、多数あるタイム品種の中から「コモンタイム」をピックアップしています
- 特徴
- タイムは大別すると2つのタイプに分けられる
- コモンタイムが属する Thtmus (テイムス)属⇒広くユーラシア大陸に分布して約350種が知られています。タイムの仲間は樹形によって、大きく2つのタイプに分けられます。
- 立性タイプ→上方向に直立するものや、扇状に広がり直立するものがある
- 匍匐タイプ→花期以外は、3cm位の高さで這うように四方に枝を伸ばして生長する
- 立性タイプは斑入りにかかわらず、ほとんどの品種が料理に利用されているのに対して、匍匐性タイプの一部は、葉に細かな毛が生えていたりするので、料理に利用されない種類があります。
- ハーブとして利用されていて代表的なのは、コモンタイム、クリーピングタイム、レモンタイムです。タイム類には茎が立ち上がる立性と、葉茎が這うように広がる這性の2つのタイプがあります。
- 北半球に、300~400種の仲間がいて、中でもヨーロッパ南部原産のコモンタイム(T.vulgaris)が有名ですが一般的にはタイムという本種を指すことが多いです。コモンタイムは、栽培変種が多く、シルバーポジータイム(T.vulgaris “Silver Posie”)は、鉢植えや花壇にも適しています。
- 常緑性の低木で、枝は斜め上に伸びていき先端が立ち上がります。株元から細かく枝分かれして、こんもりと茂ります。細かい葉は5mm程度で、枝に密集します。繁殖力旺盛で、枝の節が地面に付くと、そこから根を出します。
- 初夏になると花穂を伸ばして茎の先に淡いピンク色の小さな花を、チョウチンのように球状にたくさん咲かせます。
近縁種
- レモンタイム(T.x citriodorus)→コモンタイムをラージタイムの雑種で、レモンのような爽やかな香りが特徴で、料理によく利用されます。
- 園芸品種のゴールデンレモン(T.x citriodorus ‘Aurea’)は葉に黄色い縁取りが入っていて見た目も美しく、寄せ植えなどに適しています。
- クリーピングタイム(T.serpyllum)→ワイルドタイムと呼ばれて、ヨーロッパ全域に広く分布しています。
- 赤桃色の花で、ピンクや白色の花も咲かせます。葉に黄色い縁取りのある品種があり、様々な種類があり楽しませてくれます。枝の先端はあまり立ち上がらず、名前の通り這うように広がります。満開時期には株全体がピンク色の絨毯のようになり、とても可愛らしい花です。
- イブキジャコウソウ(T.serpyllum ssp.quinquecostatus)→クリーピングの亜種で、東アジアに分布しています、紫紅色の花を咲かせます。日本で唯一自生するタイム類です。ハーブとしては利用されません。
- タイムの名前は、属名「ティムス・Thymus」の英名です、これはギリシア語の’thuo'(消毒)~着ているとされています。
- 主成分のチモールは殺菌・防腐効果に優れ、肉や魚の保存剤として用いられていました。
- 中世ヨーロッパでは、勇気・活動・行動力の象徴とされ男らしさを表すものでした。また古代ギリシャローマ時代は品位・優雅・勇気を現していました。タイムは、ヨーロッパで古くから利用されてきた事もあり、神話や文学作品に多く登場します。ギリシア神話ではスパルタ王の妻、へレナの涙より生まれた草とされており、シェイクスピアの真夏の夜の夢では、タイムの生い茂る堤が、妖精の女王の住む場所として登場します。
- キャラウェイタイム(T.herba-barona)→茎はしなやかで、毛氈(もうせん)状に広がる。キャラウェイの香りがする。
- チモール、カルバロールなどの成分を含み、薬用、香料に使われます。ピリッとした風味と芳香を持ち肉料理魚料理にもよく使われます。防腐効果効果の高いので、特にフランス料理に用いられています。
タイムは古来より栽培されてきたハーブ
- 適応
- から咳、百日咳、気管支炎、気管支カタル、気管支喘息、喉頭炎、消化不良、胃炎、下痢、過敏性大腸炎
- 【外用】扁桃炎、歯周病、リュウマチ、関節炎、水虫
- 料理・飲み物で楽しむ
- ニンニク、タマネギ、赤ワインと相性がよく、枝や葉をスープや肉料理、魚料理に使います。抗菌作用があり保存性を高めるので、パテ、テリーヌなどに加えて利用されます。もちろんハーブティとしても飲まれています。
- 用土
- 庭植えにする場合は、石灰質土壌を好むので植え付け前に、石灰をよく混ぜ込んでおきます。
- 室内で育てる時は酸性の強い肥料は、使用しないほうが良いでしょう。鉢植えの場合は、腐葉土3:赤玉土(小粒)7を混ぜた土を使います。
- 肥料
- 植え付ける前に、ゆっくりと効き目の現れる粒状の肥料を土に混ぜ込んでおきます。
- その後、真夏を除く3~11月の間、追肥として液体肥料か、土の上に置くタイプの固形肥料を与えるようにします。ただ与えすぎると香りが弱くなるので、与える量を控えるようにします。冬~春の期間は堆肥などの有機肥料や、緩効性の化成肥料を与えます。
- タネまき
- タネまきも可能ですが、個体差があるので、香りや花姿のよい株を確実に育てるには、挿し木や株分けで育てる方がよいでしょう。
- 挿し木で増やす
- 適期は6月中旬~7月中旬です。
- まだ蕾のついていない枝で、枝の表面が、堅くて茶色くない枝(木質化していない)を選んで10cmほどの長さに切ります。切り取った枝の下部の葉を取り除き水に浸けて吸水させてから、切り口を斜めに切り取り、バーミキュライトを入れた鉢に挿します。
- タップリと水をやり、根が出るまでは直射日光を避けて水をきらさないように管理します。根が出たら小さな鉢に仮植えをして大きくなったら、大き目の鉢に植え付けします。
- 株分けで増やす
- 適期は4月中旬~5月です。
- まだ蕾のついていない枝で、枝の表面が、堅くて茶色くない枝(木質化していない)を選んで10cmほどの長さに切ります。切り取った枝の下部の葉を取り除き水に浸けて吸水させてから、切り口を斜めに切り取り、バーミキュライトを入れた鉢に挿します。
- タップリと水をやり、根が出るまでは直射日光を避けて水をきらさないように管理します。根が出たら小さな鉢に仮植えをして大きくなったら、大き目の鉢に植え付けします。
株姿や花も観賞用として楽しめる
- 植えつけ
- ポット苗や挿し木をして育てた苗、株分け苗を花壇やコンテナなどに植えつけます。真夏と真冬以外の時期なら、いつでも可能です。傾斜地や石組みの上などの、グラウンドカバープランツとしても利用できます。
- 植え替え
- 根の生長が比較的早い植物なので、小さい鉢に植えているとすぐに鉢の中が根でいっぱいになり、根づまりをおこしてしまいます。
- 鉢の底から根が伸び出してきたら植え替えの合図です。一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けをします。3月~4月、9月~10月が適期です。
- 手入れ
- 開花前に、枝先を刈り込んでおくとその後、長期にわたり葉の収穫ができます。
- 枝が生い茂って風通しが悪くなると、株が蒸れて枝が枯れ上がってしまうことがあります。要注意時期は、高温多湿の梅雨時に起きやすいので、枯れ葉が沢山付いている場合は、収穫も兼ねて梅雨前に株全体の三分の一くらいを刈り込みます。
- 同様に冬前にも刈り込みをしておくと、春になると綺麗に芽が出そろいます。
※ ハーブの栽培手入れ⇒トップページ「ハーブ植物の栽培上手」をクリックしてください。
- 水やり
- 水やりは、乾燥土壌を好みますので、表面が完全に乾いたら水やりをします。但し、植え付け直後は根付くまでの1ヶ月間はタップリと与えます。
- 冬は生育が鈍るので、更に水やりの回数を少なくして、土の表面が乾いて数日経過してから水を与えるようにします。
- 収穫
- 花摘みは、葉茎の収穫が目的なら、花は咲く前に摘み取ります。花が咲くと香りが弱くなってしまいます。肉・魚介類の臭み消しや煮込み料理のブーケガルニ、ティーなど料理に幅広く利用できます。生葉、乾燥葉とも利用できますが、風味が強いので量は適宜調節した方がよいです。
- 日当たり
- 丈夫な植物なので。日なた、明るい日陰でも問題ありませんが、日当たりの良い方が、より葉の色つやが良くなり元気に育ちます。ただ高温多湿には弱いので風通しの良い場所を選びましょう。
- 耐寒性は、普通なので外で管理することは出来ますが霜の被害で葉が真っ黒になってしまうことがあります。いずれ新芽が出てきますが、霜がひどい場合は、風よけや霜よけをしましょう。