タネまきから苗を育てる-No.1 直まきするか苗を育てる-イパネマおやじ
花壇や畑、鉢植え用の苗はポットなどに植えられ生育したものを、園芸店や通販で入手することが出来ます。一般に市販されている苗の種類は、以前に比べると増えていますが限られているのも事実です。そのため、自分が育てたいと思うものが、手に入らないこともあります。苗の種類は、数が少ないが種子から育てるつもりであれば、その数や種類は豊富にあります。
タネまきから苗を育てる
タネは少々希少なものでも、園芸店やネット通販などで販売されていて入手が可能です。花壇や庭植えをする場合、植え込む苗の数が多数必要になります。例えば、1平方メートル花壇に20cm間隔でパンジーを植えるとしたら、36株が必要です。そうなると、苗の価格も安いものではありません。そこで、タネから育てれば多少手間はかかりますが、安く大量に育てることも出来ます。
タネ(種子)
タネの仕組み→受精が終わると、雌しべの基部にある子房が発達して果実になり、中の胚珠は種子(タネ)になります。種子は種皮と胚乳、胚で構成されています。胚は種子の主要な部分で、子葉(最初に出る幼い葉)、胚軸(子葉と根の間の部分)幼芽(発芽すると茎になる)、幼根(発芽すると根になる)という植物の基本的な器官を持っています。
好光性種子と嫌光性種子
タネには光が当たると発芽が促進される好光性種子と、光によって発芽が抑制される嫌光性種子とがあります。好光性種子の場合、用土を厚くかぶせると発芽し難くなるので、タネをまいたらそのまま腰水し、ビニール袋などをかぶせて温度を保ちます。タネが非常に細かい種類もあります、そのままでは蒔くのが難しいので、ペレット状にコーティングされたコートタネが販売されています。
タネまきの作業これだけは知っておこう!
タネを花壇、畑や鉢などにまいて発芽させることです。通常はタネの大きさの2倍程度に土をかぶせて、手の平で土を軽く押さえて落ち着かせて、水やりをします。鉢や箱にまく場合、発芽までは直射日光や降雨の当たらない場所を選びましょう。
また、水分条件や地温の変動が激しい屋外は避けて、風の当たらない明るい日陰で管理します。タネの購入をする際は、温度変化の少ない室内の日陰に保管されたものを選びましょう。
発芽に必要な条件(水・空気・温度)
タネが発芽するためには、水と空気と適度な温度が必要です。乾燥した状態で保存されていたタネをまいて水を与えるとタネに含まれている酵素が活性化します。そして、酸素を吸収して細胞分裂を始め、根と芽が出てきます。この一連の働きは化学反応であり、適した温度があります。これが発芽適温で、植物の種類により異なります。
タネまき用土の条件
病気や、害虫の発生する可能性の低い、清潔な土を用います。庭土、植物を育てた土、屋外に長く露出していた土は避けます。また、通気性、排水性、保水性、保肥性がよいことも重要です。複数の土を配合して、育てる品種の好む種子まき用土をつくります。
「赤玉土小粒の単用」
「赤玉土小粒とバーミキュライト等量配合」
「ピートモスとバーミキュライト等量配合」
「市販の培養土」
必要な苗の数に応じて、まくタネの数を決める
必要な苗の数を決めたら、必要な量のタネを購入しましょう。1袋のタネの数は、5号鉢や育苗箱に適した数が入っている訳ではありません。また、タネはすべてが発芽するとは限りません。発芽に適した条件下でまいたときに発芽する割合(発芽率)や、タネまき後の間引きを考慮する必要があります。
得られる苗の数:タネの数×発芽率×間引きで残す苗の割合苗の量が半分になる間引きを、2回行うと残る苗の割合は4分1ということになります。
タネまきの方法と特徴
直まき
庭や花壇などの栽培する場所に種子を直接まくタネが大きなボリジや野菜のように利用するロケット、直根性のハーブには、庭やコンテナに直接まく直まきが向いています。花壇や庭に植物が植えられていない場合や、直根性で移植を好まない植物を育てる場合に適しています。屋外の気温、地温などが発芽の適温の時期に行います。
ポットまき・鉢まき
2.5号ポットに用土を入れ、湿らせる。ポリポット、または鉢に直接種子をまく発芽後の鉢上げを省略することが出来る。鉢上げによって根が傷みやすい直根性の植物に適しています。
割り箸を使ってタネをまく穴をあける
先端から2cmの位置をつまみ指先が、用土の表面に当たるまで押しこむ(正確な深さにするため)
割り箸であけた穴にタネを1粒ずつ落とし込むようにまく。まき終わったら指先で用土をつまむようにして穴をふさぐ
品種名、タネをまいた日付けを記したラベルをつける。必ずタップリと水やりをする
箱まき
タネを育苗箱や浅い駄温鉢などにまく→発芽後、苗が生長したらポリポットなどに移植します。せまい面積で管理でき、環境に適した場所に置いて管理できる。病害虫の発生を早期に発見しやすいなどの特徴があります。
微粒種子のばらまき
タイムやヒソップのように、タネが非常に細かくて用土の隙間に深く埋もれすぎてしまう場合は、砂やバーミキュライトを茶こしで篩(ふる)い、用土の上に細かな層を作ります。茶こしでふるいにかけて、細かな層を作るための用土を準備しておきます。
上の図で準備した、細かい土を用土の表面に敷きつめたら、ハガキか厚紙を二つ折りにしてタネをのせて、細い棒の先で軽くたたいてタネを少しずつ落としていきます
タネのまき方もいろんな種類があるよ!
すじまき
種子を等間隔の列状にまきます。直径1~2mm前後のタネに適しています。ポイント:発芽時に苗が各列横に並んでいるので、間引きする際に苗の出来具合いを比べやすく作業がはかどります。
点まき
タネを1ヶ所に1粒または数粒ずつ等間隔にまきます。直径2mm以上の比較的大きいタネに適しています。ポイント:1粒ずつ離してまけば、発芽直後の間引きの必要が無いか、もしくは間引きが簡単です。育苗箱などでは、あらかじめ苗同士の間隔をとっているので、比較的大きく生長するまで栽培できます。
ばらまき
花壇や庭一面に、ランダムにタネをまくのに適している。育苗箱や鉢にまく場合で、直径1mm以下の細かいタネをまくのに適しています。広い面積に手軽にまける、全量の6~7割をまんべんなくまいてまきムラが出た場所にまき加えて均等にする。
ピートバンにまく
ピートモスを圧縮成型したピートバンにまきます。吸水口用に角を三角に切り容器に水を注ぎ十分膨張したらタネをまきます。微粒種子や好光性種子のタネまきに適しています。乾き具合に応じて水差しを使い、吸水口から水を与えます。
底面吸水法(腰水)
育苗箱や鉢の下に水が溜まる受け皿などを置いて水を溜めて、毛細管現象を利用して吸水させる方法で腰水(こしみず)ともいいます。発芽後は溜まった水を捨て普通どおり上からの水やりをします。微粒種子をまいても、上からは水やりをしないので、タネが土中に流されないのと水切れの心配がいりません。
※ タネまきのポイント:主に春まきと秋まきがメインです。