植え込み材料・調整剤 室内園芸や水耕栽培用の特殊な用土-イパネマおやじ
基本用土や改良用土のほかに、室内園芸用や水耕栽培用に開発された用土や、洋ラン類などの特殊な植え込み材料があります。一般に流通しているこれらの用土、植え込み材料を紹介します。
植え込みのための材料
天然の繊維・木材を原料にした材料
- バークチップ
- 針葉樹などの樹皮を細かくチップ状にしたもので、水ゴケよりも通気性がよく、安価で扱いやすいのが特徴です。軽石などを混ぜて、主にシンビジウムの植え込み材料として使われます。
- たくさんサイズがありますが、粒の小さいものがおすすめです。よく似たものにマルチング用のインテリアバーグがあるので混同しないようにしましょう。一般の園芸店では、あまり流通していませんが洋ラン専門店などで販売されています。
- ヤシの実チップ
- ヤシの実のスポンジ状繊維をチップ状にしたもので、ヤシ殻チップとも呼ばれます。洋ランなどの栽培に使われます。水を含むと膨張し、水がはけると収縮するため弾力に富み、吸水性、保水性、排水性にすぐれています。また、軽量で清潔な点もメリットです。
- 欧米では自然保護の観点からもリサイクル商品のヤシの実チップが洋ランだけでなく一般の培養土の原料にも使われています。使用前に、一昼夜水に浸けて塩分を抜いた方が安全です。
- ヘゴ板、コルク板
- どちらも着生ランを張りつけて栽培するときに使います。ヘゴ板は、ヘゴ(木立ち性シダ植物)の茎を乾燥させ板状に加工したもので、コルク板よりも保水性がすぐれています。(画像はヘゴ板)
- コルク板(コルク樹皮)もヘゴ板と使い方は同じですが、コルクの方が腐りにくいので最近ではコルク板を使う人が増えているようです。どちらも洋ラン専門店で販売されています。
石や土、天然繊維などを原料にした材料
- ケト土
- 湿地のヨシやマコモなどが堆積して分解しかかった黒色の土です。粘りがあり、保水性、保肥性が高いので、山野草や盆栽の石づけ用に使います。
- 発泡煉石
- 粘土玉を焼成して発泡させたものでクレイボールとも呼ばれます。硬くくずれにくく、排水性、保水性にすぐれています。土を使わないので清潔で、室内園芸用の植え込み材料として普及し、主に水耕栽培に、単独で使用します。
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- 室内園芸用顆粒状粘土
- ドイツのヴェスターヴァルト地方から産出された粘土を練り混ぜ、焼成した顆粒状の室内園芸専用の用土です。粒が小さく軽量で保水性が高いため、水やりの回数を減らすことができるのが利点です。
- また、粒子が腐敗、分解しないので通気性にすぐれています。底に穴のないガラス容器などに観葉植物などを植えつけるときに使用しインテリアグリーンの用土として雑貨店などで販売されています。単一で利用します。
- 水ゴケ
- 湿地帯の水ゴケを乾燥させたもので、保水性にすぐれ本体の重さの10倍以上の水を含むことができます。軽くて適度な通気性があり、よく乾燥したものはほぼ無菌です。肥料分は含みませんが、保肥性もすぐれています。
- 着生ランやサギソウなどの植え込み材料として広く利用されています。国産、中国産、ニュージーランド産などがあり、繊維が長く、軟らかいものを選びます。乾燥したものは十分に水に浸してから、水を絞ってから使います。
- 山ゴケ
- 山地に自生するコケで、水ゴケに比べると保水性は劣るが、非常に通気性に富んでいます。細かくして鹿沼土などに混ぜ、サツキや山野草の栽培に使います。
調整剤は、土質の酸性又はアルカリ性の度合いを整えるために用いる
- 苦土石灰
- 酸性土壌を中性化します。微量要素のマグネシウムを含み、穏やかに効く石灰、粒状もあります。
- 有機石灰
- 酸性土壌を中性化します。苦土石灰よりも更にじっくり効果が出て、わずかに肥料分も含みます。
- 過リン酸石灰
- 酸性のリン酸化成肥料で、アルカリ土壌を中性化します。堆肥にくるんで元肥として施して使います。
- 硫安
- 酸性のリン酸を含む化学肥料でアルカリ土壌を中性化します。即効性はありますが効果は短期間です。
鉢栽培やコンテナで育てる楽しさは、窓辺やベランダなど身近な場所に置くことで、香りや植物の瑞々しさを感じることです。