リンドウ ハーブ-秋に咲く紫色の花で薬用としても重用された-イパネマおやじ

リンドウ(Scabrous gentian)は、日本の本州以南から奄美諸島まで、山野に自生する植物です。(近縁種も含めるとほぼ日本全域に分布するとされています)秋の山野に映える濃い青紫色の花は、美しさ・野趣・可憐さなど日本人に好まれる親しまれてきた野草といえます。(日本には約18種と8変種があります)

音読みの竜胆(りんどう)は、熊の肝・胆嚢よりも苦く、まるで竜の肝のようだという由来があるそうです。

リンドウは多年生草本

本州以南から奄美諸島に分布する

  • 分類:リンドウ科・リンドウ属 / 原産地:日本
  • 学名:Gentiana scabra var. buergeri
  • 別名:竜胆(りんどう)
  • 多年草・耐寒性 / 草丈:30~100cm
  • 開花期:9月~10月 / 栽培方法:地植え、鉢植え
  • 特徴
  • 細かいことをいえば「リンドウ」は学名でいう(Gentiana scabra var.buergeri)と呼ばれる一つの種を指すのですが、近縁種や変種も含めてリンドウと呼ばれています。世界では、約400種類があるといわれています。実際にはまだまだ沢山の種類や変種があると思われます。
  • 鉢植えとして多く栽培されているのが、「キリシマリンドウ」や小型になるように改良された園芸品種の「シンキリシマリンドウ」です。ピンク色の花が可愛い「イシヅチリンドウ」も鉢植え栽培普及しています。
  • 切花には草丈が高く茎がしっかりしている「オオヤマリンドウ」や「エゾリンドウ」が栽培されています。
  • リンドウは学名で「ゲンチアナ」です、これは薬としての効能、利用価値を発見したゲンチアナ王に由来しています。

リンドウはリンドウ科リンドウ属です

秋に青紫色の野趣あふれる花を咲かせる

  • 適応
  • 胃もたれ、食欲不振
  • 料理・飲み物で楽しむ
  • なし
  • 用土
  • 水はけが良く、腐植質のある土が適しています。ピートモス3:鹿沼土7の割り合いで混ぜた土を利用します。
  • 肥料
  • 少量を与えるだけでよく育ちます。芽の出る頃より真夏の盛夏の手前まで、月間2回程度液体肥料を与えます。
  • 湿りすぎると葉の先から枯れることもあるので、肥料のやり過ぎには注意してください。

リンドウは根を薬用に利用する

  • タネまき
  • 花後に採取して保存しておいた、タネを蒔きます。適時期は4~5月の上旬頃です。
  • 株分け
  • 適時期は3~4月です。
  • 株を鉢から抜いて、傷んだ根を軽く切り取り、両手に持って裂くようにして分けて、それぞれを植えつけます。
  • 地植え(庭植え)の場合も同様の手順です。
  • 挿し芽
  • 適時期は5~6月です。
  • 茎の先端を7~8cmの長さに切り、土に2~3cm挿します。
  • 用土は鹿沼土を鉢に入れておきます、日陰に置き土の表面が乾燥したら水やりをして管理しながら、1ヶ月すると根が出てきます。
  • 植え替え
  • 鉢植えの場合は、経年により鉢の中が根で一杯になり根づまりを起こして花付きが悪くなるので1~2年に1回、一回り大きな鉢へ植え替えをしましょう。
  • 水やり
  • 水やりは、根の乾燥を嫌う植物なので、春に芽が出る頃から花が終る晩秋の間、極端に乾燥しないよう土の表面が乾いてきたらタップリと水を与えてください。
  • 特に真夏は水やりは、マメにしましょう。ここが難しい所ですが、乾燥に弱いからといって常に土がジメジメしている状態だと、今度は湿り過ぎで葉の先から枯れ込むことがあります。草花の全般にいえることですが、水やりはメリハリを付けて、土の表面が乾いたら水を与えるようにしましょう。
  • ツボミや花びらに水がかかると傷むことがあるので、開花中は株元より静かに水を与えましょう。

リンドウは漢字表記が竜胆です

ハーブの仕切りライン

漢方処方薬として利用されている

  • 手入れ
  • 高咲き終わった花をそのまま放置しておくと、栄養が種を作るために取られてしますので株が疲れます。タネを採取しない場合は、花茎の付け根から摘み取るようにします。
  • 冬を迎える頃に葉茎が枯れて地下の根で、冬を越します。枯れた茎は地際で切り戻します。
  • 草丈を、あまり大きくしたくない場合は、摘心(生長している芽の先を切り落とす)を2度行います。
  • 5月中旬頃に下部の葉を4枚残して茎を切り落とします。その茎は挿し木に利用できます。但し、わき芽を伸ばさない「エゾリンドウ」「オオヤマリンドウ」は、摘心をすると花が咲かなくなるので要注意です。以外のわき芽を伸ばす種でも時期が遅れると花が咲かないことがあるので気をつけましょう。
  • 病気→さび病 葉にイボのような斑点が出来て、さびが付いたように見えるので付いたものです。
  • 葉を枯らして、胞子をまき散らして病気を拡大させるので早めの対処が必要です。病気になった葉を取り除き消毒しましょう。
  • 害虫→ネコブセンチュウ 根に潜り込んで養分を吸い取り、根には小さなコブができます。被害を受けた株は生育が衰え花が咲かなくなる事があります。薬剤での対処が難しいので植え替え時に、コブのできた根を切り詰めて新しい用土で植え替えるか、挿し木で新しい株を作ります。
  • 被害を受けないためには日常より日に当てて消毒した用土を用いて、センチュウを持ち込まないようにしましょう。
  • アブラムシ→新芽や茎について栄養を吸い取ります、見つけ次第に薬剤散布して駆除しましょう。
  • ヨトウムシ→夜に活動する厄介な害虫ですから、昼間は土の中に潜っているので株元を軽く掘ってみると見つかることがあります。

※ ハーブの栽培手入れ→トップページ「ハーブ植物の栽培上手」をクリックしてください。

  • 収穫
  • 種の収穫は、花が咲いた後、約2ヶ月でできます。サヤ全体が茶色に変色または、自然に裂ける頃に採取します。採取した種は保存しておき、4~5月上旬に蒔きます。
  • 発芽まで1~2ヶ月はかかり非常に根気がいりますが、種の採取から花を咲かせるまでの工程をすべて自分の手で行うのも愛情をこめての栽培は何ともいえない楽しみがあるものです。
  • 日当たり
  • 日当たりの良い場所を好みます。
  • 春の芽が出る時期から秋の花が終る時期までは出来るだけ日当たりの良い場所で育てましょう。よく日に当てることで枝葉もよく伸びて丈夫な株になり花付きも良くなります。
  • ツボミも日が当たると開き、日陰では閉じてしまいます。但し、暑さと乾燥にやや弱いので真夏は直射日光を避け、明るい日陰に置くほうがよいでしょう。特に、高山性の品種、「アルペン・ブルー」などは冷涼な気候を好むので、夏は風通しの良い場所で日射を少し遮って夏越しをさせましょう。
  • ※ 梅雨や夏を、手入れしていかに涼しく過ごすかが課題です。用具による工夫では、気化熱によって鉢内の温度を下げるように工夫された断熱鉢や、水冷鉢があるので探してみては如何ですか。

ハーブの仕切りライン