うどんこ病の防除 バラの園芸・作業-イパネマおやじ
ツボミや葉、新芽の一部がうどん粉のような白い粉が着いているのがあったらうどん粉病です。白い粉のようなものは、カビの一種です。
ツボミや新芽は萎縮してしまいますが黒星病のように落葉することはありません。しかし、放置すると株の生育が著しく衰えるので、発症した部位を取り除き早めの対処をしましょう。
うどんこ病と黒星病はバラの2大病気
バラの栽培にとって最も悩みが多いのが、うどんこ病と黒星病の防除です。
- うどんこ病の発生原因と症状
- うどんこ病の原因→黒星病が雨水が原因で感染が拡大するのに対し、うどんこ病は空気伝染で感染します。
- うどんこ病の胞子は風で運ばれて、バラの新梢で発芽して繁殖します。相性の悪い品種は必ずといってよいほど発症します。原因は葉面の保護層の厚さによるものと推測されています。菌が新梢に付着するので予防が困難な病気といえます。
- うどんこ病は、黒星病とは異なり薬以外の方法で予防することができない病気です。
- うどんこ病の症状
- ツボミや葉、新芽の一部がうどん粉のような白い粉が着いているのがあったらうどん粉病です。白い粉のようなものは、カビの一種です。
- ツボミや新芽は萎縮してしまいますが黒星病のように落葉することはありません。しかし、株の生育が著しく衰えるので放置はしないで、発症した部位を取り除き早めの対処をしましょう。
- カビが繁殖して白くなった部分は光合成を上手く行えないので、放置しておくと葉が枯れ、繁殖した菌が他の植物へ移り被害が悪化します。
- 発生しやすい環境
- 4~6月、9~11月頃の、18~25℃で昼夜の温度差が大きい時に発生しやすい。そのため、夏場の高温期と気温の下がる冬場には発生しずらいのです。
- 特に日当たりや風通しの悪い場所は、うどんこ病の発生しやすい環境です。
- 窒素分の多い肥料を施し過ぎている場合も、発生の原因となります。
うどんこ病の対処方法はどうするの?
早期の発見と対応ができれば、花弁への影響や葉を切り取るなどの処置を避けることができます。葉に白い斑点を発見したときは、1週間位の間隔で酢(酸性)や重曹(アルカリ性)を薄めた液を散布しましょう。初期段階では、酸性・アルカリ性にするだけで効果があります。
ただし、症状が重くなり繁殖が止まらなくなると、うどんこ病になった葉を摘み取り、二次災害を防ぐために強い薬剤を散布する必要があります。
※ うどんこ病の防除と対策⇒トップページの「ハーブ植物の栽培上手」をクリックしてください。
- 薬剤散布
- 農薬での予防は、薬剤を定期的に散布しておくことです。うどんこ病にかかりやすい時期の前に、週に1回程度の農薬や殺虫剤を散布しておくと効果的です。
- 花木や庭木など大きな植物にうどんこ病が発生してしまった場合は、植物へのダメージが少ない休眠期に農薬を散布することで、うどんこ病の予防をしましょう。
- うどんこ病が黒星病と異なる点は治療薬が存在する事です。発病初期に対処すれば確実に治すことができます。
- れた治療薬の存在にも関わらず煩わしい病気であるのは、保護皮膜、ワックス効果に深く関わりがあります。
- バラの新芽部分が黒星病に感染しにくいのは、ワックス効果を持つ新芽部分が水を弾くからです。そのため、優れた薬剤を使用しても、うどんこ病が治らない理由は薬が患部に付着しないからです。
- 付着しない原因は水で希釈した薬剤は新梢の持つワックス効果により弾かれてしまうからです。どの様な薬剤でも水で希釈する以上は結果は同じです。そのために、展着剤を混合して併用することで薬剤の散布効果が上がります。
うどんこ病の防除薬剤
- うどんこ病専門薬剤→トリフミン、バイレトン、カリグリーンはうどんこ病の専門薬で、比較的安価で予防薬として優れています。
- カリグリーンはカリ分を含む専門薬で安全性の高い予防薬剤です。また、うどんこ病・黒星病・さび病に効果のあるSTサプロール乳剤もよく使われています。
予防薬剤 | 特長と効果 |
---|---|
カダンD | アブラムシ対策 |
炭酸水素ナトリウム(ハーモメイト)水溶剤 | うどんこ病、灰色かび病菌 |
トリホリンエアゾル(オルトランC) | うどんこ病、黒星病 |
トリホリン(サプロール)乳剤 | うどんこ病、黒星病 |
トリフミゾール(トリフミン)水和剤 | 胞子形成阻止 |
TPN水和剤(ダコニール1000) | 広範囲の病害にも効く |
ビテルタノール(バイコラール)水和剤 | うどんこ病、黒星病など広範囲に |
※ 同じ薬品を使い続けると耐性ができるので、いくつかの薬剤を交互に散布すると効果的です。
治療薬剤 | 特長 |
---|---|
カリグリーン | 環境に優しいうどん粉病治療薬 |
サプロール乳剤 | うどんこ病・黒星病・さび病に効く |
テトラコナゾール液剤(サルバトーレME) | うどんこ病、黒星病 予防・治療 |
ベニカX | 病気と害虫にダブル効果 |
ミルディオマイシン(ミラネシン)水溶剤 | 治療用として広く用いられる |
展着剤を使用する
ワックス効果を持つ新梢の患部に薬を密着させる効果があるのが展着剤です。展着剤を加えた薬剤は噴霧器による散布で新梢の患部に薬剤を密着させる効果があります。展着剤の配合無しでは、うどんこ病を治療することはできません。
予防薬と適切な展着剤を組み合わせる事でうどんこ病は確実に抑え込む事ができます。しかし、うどんこ病の厄介なところは感染しやすい新梢が常に生長を継続している事です。薬剤散布の間隔が仮に10日間隔の場合、散布の後に新たに伸長した部位はうどんこ病に対し無防備状態である事が想定されます。次の薬剤散布までの間に感染する可能性と危険度も高いのです。
展着剤は、新芽部分に付着する力と皮膜を作る能力に優れ、予防薬と併用すると効果的です。葉や茎の表面に滲むように展張する効果があり、薬剤の汚れを最小限に押さえる効果と散布ムラを作りにくい特性も併せ持ちます。薬液使用量も低く抑えられうどんこ病対策に欠かせないのが展着剤です。
- 展着剤の選び方
- 様々な機能を持つ展着剤があり、目的に沿った使い分けをする事で高い相乗効果を得る事ができます。黒星病の皮膜効果とうどんこ病に求められる展着効果、双方の性質を併せ持つ展着剤で優れた展着剤であれば安全です。
- 展着剤の使用に際して、濃度には注意が必要です。濃すぎると薬害の発生原因となり、特に複数の展着剤を組み合わせる場合は、各々が異なる特性を持つ物を組合せます。展着効果の高いもの同士を組み合わせると場合により薬害を生じます。
- 展着剤による薬害は散布した株の葉全体に及び、全滅状態になります。散布ムラを防ぐために行う行為が最悪の状態を招く場合も有りますので、展着剤の濃度と機能を重複させぬよう配慮をしておきましょう。
- 消毒以外にも注意が必要なこと
- 肥料過多、日照不足、風通しが悪い、水の施しすぎによって起こる株の軟弱化。
- 水切れによる保護層の傷み。
- いずれも葉面の保護層が薄くなった時に、菌が侵入するのが原因と考えられます。