つるバラを育てる-1 バラの園芸・作業-HT種やフロリバンダより育てやすい-イパネマおやじ
つる性のバラ(以後つるバラと表記)とは、枝が長く伸び、そのため株が自立することが難しく、誘引が必要なバラです。「つる」とは呼ばれますが、枝が自ら絡みつくことがないため、園芸上の分類では、つる性植物ではなく低木に分類されます。
庭のアーチやオベリスクに、そして住まいの壁や周囲のフェンスを覆うように花を咲かせるつるバラは、家の全体を華やかにして、育てる人だけでなく自宅の前を散策する人も楽しませてくれます。
つるバラの栽培と仕立て方
- 木立ち性のバラに比べて、株が大きく育つため基本的には鉢栽培には不向きです。
- つる性のバラには、野生種、オールドローズ、モダンローズのいずれにも含まれます。
つるバラの魅力
- つるバラは、ハイブリッドティなどのブッシュ・ローズに比べて、丈夫で育てやすく初心者にも沢山の花を咲かせることができます。
- 枝は2m~10m以上にも伸びる品種もあります。アーチやフェンス、壁面、オベリスク、パーゴラ、アーチなどに誘引します。
つるバラの特徴
- 丈夫で育てやすい品種が多い。
- 春に沢山の花を咲かせる。
- 開花は春1回のみ咲く一季咲きが基本ですが、春以後も開花する四季咲きや、返り咲き品種も増えています。ただし、春の開花のように、多くの花が咲くという状態は少なく、ポツポツと咲く程度です。(返り咲く時期や、度合いは品種により異なる)
- 一季咲きの品種は、2年目の枝の側枝に花を付ける
- ほとんどの花が、小輪から中輪で返り咲く度合いは弱い品種がほとんどです。
- 華やかな大輪の花をつけ、春以外も花を咲かせる品種は、前年に伸びたシュートの先端から、センター付近より花を咲かせます。ただし、花つきはまばらでシュートも太くて堅く、つるバラとしては理想とはいえない品種もあります。
- 様々な仕立て方ができる
- 育てにくいブッシュ・ローズでも枝変わりのつるバラなら育てやすくなったり、つる性のバラはアイデア次第で色んな仕立てが可能です。
- 栽培する場所の、構造物や広さ、大きさに適合した品種を選ぶことが大切です。
※ バラの手入れや病害虫の防除→詳細はトップページの「バラの園芸・作業」をクリックしてください。
つるバラの種類とその性質
- [LCl] ラージ・フラワード・クライマー・・・大輪咲きのつるバラで、一季咲きと四季咲きがある。
- [HWich] ハイブリッド・ウィクラナ・・・テリハノイバラ(Rosa luciae = Rosa wichurana)に由来する種。大型のつる性となりランブラーとして扱われる。
- [HMsk] ハイブリッド・ムスク・・・ロサ・モスカータ(Rosa moschata)に由来する種。多花性で大房になり、四季咲き性が強い品種が多い。半つる性またはつる性となる。ロサ・モスカータの持っている、ムスク系の香りを受け継いだ品種が多い。
- [CLHT] クライミング・ハイブリッド・ティー・ローズ・・・ティーローズの枝変わり種。
- [CLF] クライミング・フロリバンダ・ローズ・・・フロリバンダの枝変わり種。
- [ClMin] クライミング・ミニチュア・ローズ・・・ミニチュアローズの枝変わり種。小さな花を咲かせる。
その他の品種とその性質
- [HMult]ハイブリッド・ムルティフローラ・・・ノイバラを交配親にした房咲きのランブラー種。
- [HP] ハイブリッド・パペチュア・・・オールドローズ系統で、生育旺盛な四季咲き性の低木。
- [N] ノワゼット・・・四季咲き性のつるバラで、大きな房に9個までの芳香がある花を、夏から秋までつける。
つるバラの植えつけ
ブッシュ・ローズなど他の品種と共に同時期に、苗が流通します。同様につるバラにも、大苗と新苗があります。
つるバラは、品種により枝の伸び方や、枝の堅さや太さもさまざです。個々のバラに適した、空間と支持物が必要です。
- つるバラの植えつけ場所
- つるバラは、枝が広範囲に伸びて高所にも及ぶので、無理なく手入れのできる性質のバラを選びましょう。
- 伸長力があり、支持物が高所に及び脚立などを使用しないと手入れが出来ない状況も発生します。育てる人の体力に応じた、品種の選定も大切です。
- 植えつける前に、予め手入れが必要となる状況を想定して品種を選びましょう。
※ 種苗会社のカタログに記載されている枝の伸長力は、成木(植えつけて2~3年の木)の、ベーサル・シュートが1年間で伸びる長さを表している。
苗の種類と手入れ作業
苗の選び方→つるバラも大苗と新苗があり、よい苗の選び方、見分け方も他の種類のバラと基準は同じです。
植えつけ方→大苗、新苗共に基本的には、他の系統のバラと同じです。(トップページから「バラの園芸・作業」→バラ苗の植えつけー1・2)
大苗を植え付ける→春に伸びてきた枝は、高さ2m位の支柱を数本立てて、支柱に枝を真っ直ぐに誘引します。来年になると、枝に花をつけます。
新苗を植え付ける
- 植えつけ時に、長さ2m位の支柱を立てて枝を支柱に結び留めます。枝が伸びてきたら、支柱に枝を沿わせるようにして、真っ直ぐ伸ばしてやります。
- 四季咲き性の品種は、シュートにツボミが上がってきたら、早めに摘み取りましょう。このタイミングで花を咲かせると、株の生育が遅れます。
移植をする場合
- 庭のバラを、現在の場所から他の場所へ移動させたい。そんな時は、バラの休眠する12月~2月下旬に移植します。
- 株を掘り上げる前に、次に定植する場所に穴を掘り、堆肥やピートモスなどの土壌改良材を入れておきます。
定植したら、土を埋め戻してタップリと水を施します。
移植後の管理
- 乾燥した日が続いたら水を施します。暖かい日には、午前中のうちに不織布の上から枝にも水をかけます。
- 芽が1~2cm出たら、不織布を外して株元を動かさないように丁寧に誘引します。同時に、株元の周囲20cm程の場所に、肥料を施します。(堆肥:2ℓ弱、油かす:100g、骨粉:100g、熔成リン肥100g)
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園芸メモ・バラの栽培用語:覆輪(ふくりん)⇒花弁の縁に別の色が現れ、花色を構成すること。