一・二年草 冬越しなどの厳しい環境を種子で存続する植物-イパネマおやじ
- 夏や冬、乾燥期など、植物が生育するのに適さない厳しい環境のシーズンを種子というシンプルな形で過ごすように進化した植物が一・二年草です。
- このページでまとめている、一・二年草は園芸品種としての分類です。海外から入ってきている輸入花の中には、原産地では毎年開花する宿根草なのに、日本では気候・温度の環境の違いで、一・二年草として扱われているものが多くあります。これらは、ここでの分類上は一・二年草にしてあります。
一年草・二年草とはどんな植物なのか
具体的には、1年間で生命活動が、一巡する草本のことです。地面の下部も含めて植物全体が、発芽してから1年以内に、開花・結実したら枯れる草本植物のことです。
一年草の種類
- 一年草はタネまきから開花・結実・枯死までの期間が1年以内のものです。宿根草と比べると、花つきがよく生育スピードが速いのが特長です。
- 春に発芽して、冬までに開花・結実するものを、夏型一年草または春まき一年草と呼びます。
- 秋に発芽して、冬越しして夏までに開花・結実するものを、冬型一年草または秋まき一年草、または越年草とも呼びます。
春まきと秋まきがある
- 春まき一年草は、夏から秋に花が咲きます。その多くは短日植物で、日が短くなる秋になると多くの種類が花を咲かせます。
- 冬から春にかけて園芸店の軒先を色鮮やかな苗で埋めつくす程、広く栽培されているパンジーは秋まき一年草です。盛夏の高温多湿を嫌って、株が弱る前の5~6月頃にタネをつけます。タネの発芽温度は20℃前後なので、9月になったらタネまきをすれば、再び新しいライフサイクルを始めます。タネから育てるのも、ガーデニングの大きな楽しみですが、一・二年草は安価なポット苗が、大量に出回るので初心者の場合は、苗からの栽培がお勧めです。
- 春まきのタネは、まく時期が早すぎると気温が低すぎて、うまく発芽しません。適期は、ヤエザクラが散る頃~5月の八十八夜の間です。
- 苗から育てる→早く花を楽しみたい場合は、苗を購入しましょう。タネの秋まき一年草の種類には、8月にまく場合は、涼しく管理しないと、うまく発芽しないことが多いので、気温・温度の下がった9月にタネをまきます。
- プリムラ・マラコイデス、ロベリア、カルセオラリアなどは、本来は多年草ですが夏の暑さで枯れてしまう地域が多いので、一年草として扱われています。
二年草の生育の過程は
- 二年草はタネまきから開花・結実・枯死までの期間が1年以上2年未満のものです。
- 秋か春に発芽して、1年目の夏は株が生長するだけで花をつけず、2年目に開花・結実し、生存期間が1年以上2年未満の植物。マツムシソウ、シナノナデシコなどがあります。
- 気候条件によっては、2年目に咲かずに3~4年目に咲くものもあります。植物が、自分の適合できる自然の条件を判断して、翌年以降に開花(結実)を先送りしているようです。(これも不思議な能力ですね)オオマツヨイグサ、ヒメジョオンなどの品種があります。
一・二年草 開花期リスト ( )内は苗の出回っている月
春 3~5月 | 初夏 5~7月 | 夏 7~8月 |
アゲラタム(3~9) | アゲラタム(3~9) | |
アスター(3~12) | アスター(3~12) | |
アレナリア(10~5) | ||
アンチューサー(2~6) | アンチューサー(2~6) | |
イベリス(12~4) | イソトマ(1~12) | イソトマ(1~12) |
エリシマム(10~2) | エリシマム(10~2) | |
インパチェンス(3~10) | インパチェンス(3~10) | |
カスミソウ(1~12) | カスミソウ(1~12) | |
カンパニュラ(8~6) | オシロイバナ(4~5) | |
キンギョソウ(1~12) | キンギョソウ(1~12) | キンギョソウ(1~12) |
キンセンカ(1~12) | ケイトウ(4~10) | |
ゴシキトウガラシ(6~9) | ||
コスモス(3~11) | コスモス(3~11) | |
サイネリア(9~4) | ゴデチア(10~5) | |
シザンサス(1~4) | サンビタリア(4~11) | サンビタリア(4~11) |
ストック(9~5) | ジニア(4~11) | ジニア(4~11) |
センニチコウ(4~10) | センニチコウ(4~10) | |
デージー(9~4) | デージー(9~4) | |
トルコギキョウ(3~10) | ||
トレニア(4~10) | トレニア(4~10) | |
ニゲラ(1~7・10~11) | ||
ニコチアナ(4~9) | ||
ニチニチソウ(3~10) | ニチニチソウ(3~10) | |
ネメシア(9~6) | ハゲイトウ(4~10) | |
ネモフィラ(10~6) | ネモフィラ(10~6) | |
ハナビシソウ(3~5) | ハナワギク(2~4) | ハツユキソウ(6~9) |
ヒマワリ(2~8) | ヒマワリ(2~8) | |
ヒルザキツキミソウ(4~8) | フユサンゴ(5~11) | |
フロックス(3~5・7~10) | ブロワリア(5~11) | |
ベゴニア(2~12) | ベゴニア(2~12) | |
ペニチュア(2~12) | ペニチュア(2~12) | |
ホウセンカ(3~9) | ||
マツバボタン(3~9) | ||
ポピー(9~6) | ポピー(9~6) | |
ヤグルマギク(1~5・8~) | マトリカリア(2~5) | マトリカリア(2~5) |
マリーゴールド(2~11) | マリーゴールド(2~11) | |
メランポジウム(3~10) | メランポジウム(3~10) | |
リナリア(10~5) | リナリア(10~5) | リナリア(10~5) |
ルピナス(9~6) | ルピナス(9~6) | |
ワスレナグサ(1~4・11) |
一・二年草 開花期リスト ( )内は苗の出回っている月
秋 9~10月 | 初冬 11月 | 冬 12~1月 |
アゲラタム(3~9) | アゲラタム(3~9) | |
アスター(3~12) | ||
イソトマ(1~12) | イソトマ(1~12) | |
インパチェンス(3~10) | インパチェンス(3~10) | |
オシロイバナ(4~5) | ||
キンギョソウ(1~12) | キンギョソウ(1~12) | |
ケイトウ(4~10) | ||
ゴシキトウガラシ(6~9) | ||
コスモス(3~11) | コスモス(3~11) | |
サンビタリア(4~11) | サンビタリア(4~11) | |
ジニア(4~11) | ストッカー(9~5) | |
センニチコウ(4~10) | ||
トレニア(4~10) | ||
ニチニチソウ(3~10) | ニチニチソウ(3~10) | |
ハツユキソウ(6~9) | ||
ヒマワリ(2~8) | ||
フユサンゴ(5~11) | フユサンゴ(5~11) | フユサンゴ(5~11) |
ブロワリア(5~11) | ブロワリア(5~11) | |
ベゴニア(2~12) | ベゴニア(2~12) | |
ペニチュア(2~12) | ペニチュア(2~12) | ハボタン(9~12) |
ホウセンカ(3~9) | パンジー・ビオラ(9~4) | パンジー・ビオラ(9~4) |
マツバボタン(3~9) | ||
マリーゴールド(2~11) | マリーゴールド(2~11) | |
メランポジウム(3~10) |
一・二年草&多年草:シリーズ(ページリンク) 一年草|多年草
園芸メモ:一年草を、毎年同じ場所で栽培すると、競合する植物が生えてきます。さらに病気や害虫の被害にあう場合もあります。そこで一年草は、毎年結実しタネは風で飛ばされたり、動物に付着して遠くへ運ばれ、親とは離れた場所で子孫を増やしています。(なんとも不思議な能力ですね)