イチジク ハーブ-手間のかからない果樹-イパネマおやじ
イチジク (fig) は、クワ科の落葉樹です。北海道以外ならば、とても育てやすく家庭で栽培するのにも適した果樹です。果実として食用にされる部分は、実は花床(かしょう)と花軸が肉厚に肥大したものです。無数の花が花のう(果実)の内部にギッシリと詰まっています。外から花が見えないことから「無花果」と書くのは納得ですね。耐寒性はあまり強くないので、関東以北の地域では冬越しができないので、栽培は難しいです。
植え付けた1年目は収穫しません
- 分類:クワ科イチジク属 / 原産地:西アジア
- 別名:トウガキ(イチジク・漢字表記:無花果)
- 学名:Ficus carica
- 英名:Fig
- 園芸分類:落葉小木 / 弱耐寒性
- 樹高:2~5m
- 開花期:
- 栽培方法:地植え、鉢植え
- 近縁種
- カプリ系→アジア西南部原産。栽培品種の祖先種とされている。自家受粉で果実が育つ。雄花と雌花がある。
- スミルナ系→小アジアのスミルナ地方が原産。雌花のみなので、受粉にはカプリ系種の受粉が必要。ドライフラワーに最も適した系統。
- 普通系→受粉しないで果実が大きくなる単為結果の品種が多い。国内で栽培されているのは、大半がこの系統。雌花のみ。
- 園芸品種
- 桝井ドーフィン→夏秋兼用種。収穫期は7月、8~10月です。果実が大きくて、代表的な品種の一つ。農家では1~2節で切る程の、強めの切り詰めをする丈夫な品種。
- ゼブラフィート→秋果専用種。収穫期は8~10月です。
- 蓬莱柿(ほうらいし)→秋果専用種。収穫期は9~10月です。耐寒性・樹勢が強い。
- カドタ→夏秋兼用種。果実は小ぶりで果皮は緑黄色や琥珀色。ドライフルーツに適する。
- ブラウンターキー→夏秋兼用種。果実は中サイズで樹形はコンパクト。ヨーロッパでは代表的品種です。
- 特徴
- 花のう(果実)は、通常の果実でいう皮の部位が「花軸」でその内側が瘦果(本来の果実)という小さな果実の集合体があり、熟すると花のう→果のうに変化します。果のうの先に穴のような部位があるのが「目」と呼ばれます。この目から、イチジクコバチが侵入して受粉を助けることで果実が大きくなります。
- 花には雄花と雌花がありますが、栽培品種として流通しているものは雌花のみ持つものが多い。夏果専用種は、6~7月の梅雨時期に熟し、秋果専用種は果実が8月以降に熟します。熟してからの、新鮮で美味な状態にある、”食べ頃”の短い果実なので自宅で栽培してベストな食べ頃に収穫するのも楽しみですよ。
- ※ 園芸用語:花床→花柄(かへい)の先端にあって、花弁、雌しべなどを付ける部分。
挿し木で容易に増やせる
- 適応・(ハーブ、漢方としての適用)
- 無花果(生薬・むかか)→血圧降下作用
- 料理・飲み物で楽しむ
- スイーツの材料、生食フルーツ
- 用土
- 鉢植えの場合、赤玉土(小粒)6:腐葉土4:の割合で混ぜ込んだ土を使います。
- 地植えの場合、定植する場所の土をよく耕して少量(1㎡/150g)の苦土石灰と腐葉土を混ぜ込んでおきます。
- 肥料
- 水はけ水もちのよい土壌を好みます。その他の条件にはこだわりません。
- 鉢植えの場合、植えつけの際に用土の中に元肥として有機性固形肥料を混ぜ込んでおきます。追肥の適期は、6月、8~9月なので速効性化成肥料を施します。植えつけの翌年から、12月に有機質固形肥料を施します。
- 地植えの場合、植えつける前に元肥として少量の緩効性化成肥料に、有機物と堆肥を混ぜ込んでおきます。追肥の適期は、6月、8~9月に緩効性化成肥料を施します。植えつけの翌年から、12月に有機質固形肥料や有機物を施します。
- 植え付け
- 適期は、11月~3月です。イチジクは苗木の段階で結実するほど早く実をつけます。しかし、1年目は収穫しないで苗木を切り戻し、まず丈夫な樹形に育てます。
- 鉢植えの場合、8号鉢以上に植えつけます。用土に有機性固形肥料を混ぜ込んで定植します。苗木は地表から50cm程で切り戻します。
- 地植えの場合、土を掘り上げて苗木を定植したら、地表から50cm程で切り戻します。
- 植え替え
- 適期は、11月~3月です。
- 鉢植えの場合、根詰まりを防ぎ通気をよくするために、2~3年に1回を目安に植え替えます。
- 地植えの場合、基本は必要ありません。
- 挿し木
- 適期は早春の発芽直前の2月~3月です。前年に伸びた枝を、芽の上2cmと下端は芽の下から1cm程で切り採って挿し穂にします。赤玉土(小粒)か鹿沼土の用土に挿します。乾燥しないように管理して、発根させます。
北海道以外では簡単に栽培可能な果樹
- 水やり
- 鉢植えの場合、土の表面が乾いたタップリと水を施します。
- 手入れ
- 剪定→適期は、12~2月です。
- 秋果専用種の場合、新梢を2~3芽だけ残して切り戻します。その年の春から伸びた枝に着果するので、前年枝はどこで切り詰めても問題ない。
- 夏果専用種の場合、前年枝に着果するので枝を切り詰めると実が付かなくなるので、混みあった枝だけを切り取って間引きだけします。
- 夏秋兼用種の場合、全体の半分の枝はそのままで、残りの半分の枝は新芽を残して切り戻します。
- 摘芯・芽かき→適期は5月中旬。イチジクの新梢を摘芯すると、やがて先端の3~4芽から副梢が伸びてきます。先端の副梢を残して他の副梢はかき取ります。
- 病気→疫病、さび病
- 害虫→カミキリムシ 食害にあうと株が枯れてしまうので薬剤散布で防除します。
※ ハーブの栽培手入れ→トップページ「ハーブ植物の栽培上手」をクリックしてください。
- 収穫
- 適期は、6月下旬~10月中旬です。実の先端が割れて柔らかくなったものから収穫します。着果して70~80日で完熟します。
- 日当たり
- 日当たりのよい場所を好みます。寒冷地で鉢栽培をする場合は、暖房のない室内などへ取り込みます。