ヘメロカリス 季節の花-花形が大きくて美しい種-イパネマおやじ
ヘメロカリス (daylily) は、初夏から夏の時期に次々と花を咲かせ続ける多年草です。ワスレグサ科で、元々は山野草のノカンゾウ、ニッコウキスゲ、ユウスゲなどが品種改良された園芸品種です。ユリ科の仲間ではありますが、球根草ではなく宿根草です。花は朝に咲いて夕方にはしぼむ一日花ですが、1つの花茎に次々とツボミが咲き上がりながら咲き続けます。花色は、黄色、ピンク、橙色、赤色など多くの花色があります。
初夏から夏に次々と花を咲かせる
- 分類:ツルボラン科ワスレグサ属 / 原産地:アジア東部
- 別名:デイリリー
- 学名:Hemerocallis spp.
- 英名:daylily
- 園芸分類:多年草 / 耐寒性
- 草丈:30~150cm
- 開花期:5月中旬~8月
- 栽培方法:地植え、コンテナ(鉢植え、プランター)
- 特徴
- 日本や中国原産である、山野草のノカンゾウ、ニッコウキスゲ、ユウスゲなどが品種改良された園芸品種を総称して「ヘメロカリス」と呼んでいます。(広い意味では、ヘメロカリス属に分類される全ての植物)
- ヘメロカリスの品種改良が最も盛んなアメリカでは、米国ヘメロカリス協会も設立される程、多くの栽培愛好家がいるそうです。改良された出品数は3万種を超える程です。愛好者の多い理由の一つは、育種が簡単で誰でも新品種出品ができることです。
- 冬は落葉して休眠するタイプと常緑・半常緑タイプがあります。どちらも毎年花を咲かせる多年草です。花の大きさは花径5~20cmと品種により異なります。咲き方も、一重咲きから八重咲き、花弁は細くて先端の尖るものから幅のあるもの弁端が波打つものなど多種多様です。1本の花茎から、数個~30個のツボミを付ける多花性のものまであります。花は一斉に開花せず、1~2輪が次々と開花していくので長く鑑賞できます。
- 近縁種
- キスゲ(Hemerocallis citrina Baroni var. vespertina)→別名はユウスゲ。原産は日本、中国東北部、朝鮮半島、シベリアで、国内には本州、四国、九州に分布する。草丈100~150cmで、茎頂に花序が枝分かれしてレモン色、花弁は6つに深く裂け長さは7cm程。開花期は7~9月で淡い芳香がある。
- ニッコウキスゲ(Hemerocallis dumortieri var. esculenta)→別名はゼンティカ。原産は日本で、本州、北海道や東北地方の海岸近くで自生する。草丈50~80cmで、茎頂に数個ツボミを付ける。花色はレモン色、花弁は6つに深く裂け長さは10cm程。開花期は5月上旬~8月上旬。群生すると一帯が山吹色の絨毯のようになり美しい。
- ヤブカンゾウ(Hemerocallis fulva var. Kwanso)→別名はワスレナグサ、カンゾウナ。中国原産で、国内では本州以南の野原や藪などに分布する。草丈80cmほど、茎頂に八重咲きになりユリに似た橙赤色の花を咲かせる。
水はけと通気性のよい土壌を好む
- 用土
- 水はけがよく通気性のある土壌を好みます。
- 鉢植えの場合、鉢底には鉢底石を敷いて、市販の草花用の培養土または赤玉土(小粒)7:腐葉土3:の割合で混ぜ込んだ土を使います。
- 地植えの場合、掘り上げた土に対して堆肥や腐葉土2~3割を混ぜ込んで、植え穴に戻します。(水はけが悪い土壌なら川砂を1~2割混ぜ込む)
- 肥料
- 鉢植えの場合、植え付けの際に用土の中に元肥として有機質肥料を混ぜ込んでおきます。定植後の施肥は、3月と9月に緩効性化成肥料を表土にまきます。株に元気ない時は1~2ヶ月に1回程度は施しましょう。
- 地植えの場合、植え付ける前に元肥として有機質肥料や堆肥を混ぜ込んでおきます。定植後の施肥は、3月と9月に緩効性化成肥料を表土にまきます。
- 置肥をする際には、株元は避け枝先の端下の地表部に散布する。
- 植え付け
- 苗の植え付け適期は、春が3~4月、秋が9~10月中旬です。「用土」と「肥料」の項目で準備した土壌に植え付けていきます。
- 鉢植えの場合、7~8号鉢が目安です。鉢底石を敷き、苗を植え付けます。
- 地植えの場合、植え穴は根鉢の3倍の大きさで、堆肥を底に敷いて元肥を混ぜ込んでおいた土を植え穴に戻します。植え付け直後にタップリと水を施したら、地表から50cm位の高さで苗木を切り戻します。支柱を立てて紐で苗木を誘引します。
- 地植えの場合、掘り上げた土に元肥を混ぜ込んだら、元の植え穴に戻します。株間は40~50cmの間隔にして植え付けます。
- 植え替え
- 適期は、春が3月、秋が9~10月中旬です。
- 鉢植えの場合、根詰まりを防ぎ通気をよくするために鉢から根が伸び出てきたら、1~2年に1回を目安に行いましょう。根鉢を軽く崩して古い根を切り取り、新しい用土と元肥を入れた一回り大きな鉢に植え替えます。
- 地植えの場合、3~4年は必要ありません。地下茎が混み合ってくると、株の生育が衰えてくるので、株分けを兼ねて植え替えます。1株を2~3芽に分けたら、葉を10cmの長さだけ残して切り取ります。40~50cmの株間で植え付けます。(春は葉を切り取らなくてもよい)
- 株分け
- 適期は、春が3月、秋が9~10月中旬です。植え替えの際、同時に行います。
丈夫で育てやすい植物
- 水やり
- 鉢植えの場合、土の表面が乾いたらタップリと水を施します。開花時期に乾燥させるとツボミが落ちることがあるので注意します。
- 地植えの場合、基本的には必要ありません。
- 手入れ
- 花がら摘み:花後の枯れた花や茎の上部を切り取ります。花が咲かなくなった花茎は、花茎の付け根から切り取ります。
- 病気→特になし
- 害虫→アブラムシ、カイガラムシ
※ ハーブの栽培手入れ→トップページ「ハーブ植物の栽培上手」をクリックしてください。
- 日当たり
- 日当たりのよい場所を好みます。午後から半日陰になる場所でも育つが、花つきが悪くなったり茎が発育不良で細くなったり間伸びすることがあります。
- 西日や真夏日の直射に当たるのを避けましょう。鉢を移動してやりましょう。