エニシダ 季節の花-5~6月に小さな蝶形花を咲かせる-イパネマおやじ
エニシダ (broom) は5月頃になると、マメ科の特徴である蝶形花を枝全体に咲かせ、枝が弓状にしなります。花色は、黄、白、赤、朱橙色など多彩な色合いがあります。ホウキのような細長い枝を多数のばした樹形になります。
5月~6月に花を咲かせる
- 分類:マメ科エニシダ属 / 原産地:地中海沿岸
- 別名:エニスダ
- 学名:Cytisus scoparius
- 園芸分類:落葉低木 / 耐寒性(強い)耐暑性(強い)
- 樹高:150~300cm
- 苗の植え付け:3月中旬~4月、9月~10月
- 植え替え:3月中旬~4月、9月~10月
- 挿し木:5月~6月
- タネまき適期:2月下旬~3月
- 開花期:5月~6月
- 種子の採取期:10月
- 栽培方法:地植え、コンテナ(鉢植え、プランター) ※記載している各適期は温暖地での目安です。(温暖地以外の場所は、環境に合わせた栽培を確認してください)
- 特徴
- エニシダの仲間は、南ヨーロッパから北アフリカ、アジアなどに約30種が分布する常緑または落葉低木です。園芸上で「エニシダ」と呼ばれるのは、常緑性のキティスス・スコパリウス(C. scoparius)のことです。原産地のヨーロッパでは、山野に自生していて花壇などでも栽培されています。我国へ渡来したのは17世紀です。
- 前年に伸びた細い枝の、葉の付け根または枝先に花序を出して花径1~2cmの蝶形花を咲かせます。生育旺盛で2年~3年後には樹高が3mにも及びます。乾燥土壌を好み、長雨や土壌病原菌などにより突然枯れることがあるので注意が必要です。連作を嫌うので、タネを採りまきして新苗を育てる場合は場所を変えましょう。
- 近縁種
- ホオベニエニシダ(Cytisus scoparius “Andreanus”)別名はアカバナエニシダとも呼ばれる。フランスで発見された、エニシダの変種です。翼弁に茶褐色の斑が入り、華やかな色合いの花を咲かせる。耐寒性が優れているので地植えに適した種です。
- シロバナエニシダ(C. multiflorus)イベリア半島原産で、半耐寒性常緑低木なので、あまり地植えには適しません。樹高は150~300cmになる。前年枝に椀豆に似た白色の小花を咲かせる。
- キティスス・ラケモスス(C. x racemosus)別名はヒメエニシダ。あまり大きくならない園芸品種で、茎葉に白毛が密生し、小さい株だが花付きがよいので、ヒメエニシダの品種名で流通する。コンパクトな樹形で、花付きがよいので鉢植えに使われる。
鉢植えにはヒメエニシダが適している
- 用土 水はけがよい土壌を好みます
- 鉢植えの場合、市販の山野草用培養土または赤玉土(小粒)6:腐葉土3:パーライト(黒曜石)1:の割合で混ぜ込んだ土を使います。
- 地植えの場合、掘り上げた土に対して土壌改良用の牛ふん堆肥や腐葉土2割くらいを混ぜ込んで水はけのよい環境を作っておきます。(さらに水はけが悪い土壌なら川砂などを1~2割加える)酸性土壌を嫌うので、植え付けの2週間程前によく土を耕して苦土石灰を混ぜ込んでおきます。(1㎡当り100g→1握り)
- 肥料
- 鉢植えの場合、鉢底石を敷いて、苗を定植後の施肥は、3月、秋は9月中旬~10月中旬に緩効性化成肥料を追肥します。
- 地植えの場合、定植後の施肥は、寒肥として2月に緩効性化成肥料を追肥します。
- 追肥または地面に埋める場合、枝先の端下に深さ7~8cm程で株元を囲むように穴を掘り、肥料を地面に埋める。(根と肥料が直接触れないように注意する)
- 植え付け
- 苗の植え付け適期は、3月中旬~4月、秋は9月~10月です。
- 鉢植えの場合、鉢底石を敷き、直根なので根鉢をできるだけ崩さないように植え付けます。定植したら、用意しておいた先程の土を鉢に戻します。植え付け直後にタップリの水を施します。鉢植えには、小ぶりな樹形のヒメエニシダが適しています。
- 地植えの場合、移植を嫌うので植え付ける前に、慎重に植え場所を選びましょう。根鉢の2倍の深さと直径2.5倍の植え穴を掘り上げます。堆肥を底に敷いて、直根なので根鉢をできるだけ崩さないように定植したら、「用土」の項目で準備しておいた先程の土を植え穴に戻します。苗が倒れないように支柱を立て、植え付け直後にタップリと水を施します。
- 植え替え
- 適期は、3月中旬~4月、秋は9月~10月です。
- 鉢植えの場合、根詰まりを防ぎ通気をよくするために、2年に1回を目安に行いましょう。根鉢を崩さないように、新しい用土を入れた1回り大きな鉢に植え替えます。
- 地植えの場合、移植を嫌うので必要ありません。
- 増やし方
- タネまきで増やす→適期は、2月下旬~3月です。ポットまきにして、根が回ったら花壇や鉢に定植します。(秋の10月頃に果実が熟したらタネを保存しておく)
- 挿し木で増やす→適期は、5月~6月です。枝先から10cm程の長さで切り取り挿し穂を用意します。下葉を取り除き、清潔な赤玉土(小粒)などの用土に挿します。根が出て夏を越したら、できるだけ根鉢を崩さないように定植します。(参考・挿し木)
生育旺盛でタネまきからでも育てやすい
- 水やり
- 鉢植えの場合、土の表面が乾いたらタップリと水を施します。
- 地植えの場合、定植後2年未満は、乾燥が続き地表が乾いたら水を施しましょう。
- 手入れ
- 剪定→適期は、5月中旬~6月中旬です。枝が伸び過ぎたら切り詰めて樹形を整えましょう。8月を過ぎて切ると、来年の花芽が出ているので切るのは避けましょう。太い枝の途中で切ると枯れこみやすいので、分枝している個所で切り取りましょう。(新枝や一年枝は途中で切っても問題ない)
- 病気・害虫→ほとんどなし。
- 収穫
- 10月頃に鞘状の果実が黒くなって熟します。タネを収穫して翌年まきます。
- 日当たり
- 日当たりのよい場所を好みます。日照不足になると、花が咲かない場合があります。