サンザシ ハーブ-春になると白色や桃色の花を咲かせる-イパネマおやじ
サンザシ (Chinese hawthorn) は、庭木や鉢植えとして広く親しまれています。北半球の温帯地域に多くの品種が栽培されている落葉低木です。国内で主に栽培されているのは、白色の小花を咲かせ赤色や黄褐色の実をつけるサンザシや、ピンク色で八重咲きになるセイヨウサンザシです。
短い枝に花芽をつけ徒長した枝には付けない
- 分類:バラ科サンザシ属 / 原産地:中国
- 別名:メイフラワー、メイブロッサム、クリトチ(漢字表記:山査子)
- 学名:Crataegus cuneata
- 英名:Chinese hawthorn
- 園芸分類:落葉低木~小高木 / 耐寒性(強い)耐暑性(強い)
- 樹高:1~3m(原産地では13mに及ぶ)
- タネまき適期:10月11月
- 苗の植え付け:10月~11月、2月下旬~3月下旬
- 植え替え:3月中旬~下旬
- 接ぎ木適期:2月下旬~3月
- 開花期:5月~6月
- 栽培方法:栽培方法:地植え、コンテナ(植木鉢、プランター)
- ※記載している各適期は温暖地(中間地)での目安です。(寒冷地、暖地では、環境に合わせた栽培を確認してください)
- 特徴
- 北半球の温帯に約200種が分布する落葉樹の低木で、枝の分枝が多くトゲを持っています。ごく少数、常緑性のものがあり、北アメリカを中心に日本や中国にも数種類が自生しています。
- 日本へ渡来したのは、江戸時代の享保年間で、中国から朝鮮半島を経由して伝わったとされています。当時から、薬用植物として小石川薬草園(現在の東京大学付属植物園)で栽培されてきました。その後、薬用としての栽培目的以外に庭木、盆栽として広く栽培されるようになりました。暑さに強い品種も多く、寒さには非常に強いので、栽培は簡単で初心者にも向いています。
- 近縁種
- 「主に花を楽しむ品種」
- セイヨウサンザシ(Crataegus laevigata) = (Crataegus oxyacantha)= (C. monogyna)→樹高8mの低木または高木。ヨーロッパ原産で白色ローズピンク色の小さな花を咲かせる。小さめの果実が熟すと赤くなる。園芸品種には、赤花種や八重咲き種があり、花の観賞を目的として栽培される庭木。
- モノギナ(C.monogyna)→ヨーロッパ、アフリカ北部、西アジアなど広い地域に分布しています。枝が枝垂れるものや、丈が低くてトゲが無いのもの、ピンク色の花を咲かせるもの等、多くの園芸品種があります。
- 「果実の美しい品種」
- クロミサンザシ(C. chlorosarca Maxim)→樹高5~6mの小低木。日本、中国、ロシア原産。枝先に直径3cmの散房花序をつけ数輪の小花をつける。花期6~7月。果期は8~9月。
- ベニサンザシ(C. sanguinea)→中国東北部からシベリア東部に分布する。果実が熟すると鮮やかな紅色になり、トゲが少なく扱いやすい品種。
- オオバサンザシ (C. maximowiczii)→樹高6~7mの小低木。日本、朝鮮、中国、モンゴル、中国の原産。枝先に直径4~5cmの散房花序をつけ直径1cm程の小花をつける。花期5~6月。果期は8~9月。
小枝がよく分枝してトゲが多い
- 適応
- 健胃、整腸、消化不良、食欲不振、下痢
- 料理・飲み物で楽しむ
- サンザシ酒、ドライフルーツ
- 用土
- コンテナの場合、赤玉土6:黒土3:川砂1の割合で混ぜ込んだ用土を利用します。水はけ、水保ちのよい土壌を好みます。
- 地植えの場合、植えつけの1週間程前に、土壌改良用の牛ふん堆肥や腐葉土を(1㎡当り2~3kg)混ぜ込んでおきます。
- 肥料
- 地植え、コンテナ栽培ともに、2月上旬から3月下旬に寒肥として、緩効性の化成肥料を施します。(固形の油かすや骨粉を混ぜたものでもよい)
- チッ素分が過多になると、枝葉は茂るが花つきが悪くなるので、リン酸やカリの成分が多い方がよい。8月下旬にも冬場と同じ肥料を追肥として少量を施します。
- タネまき
- 適期は10月~11月です。
- 自家製のタネを使う場合は、10月上旬から11月下旬に熟した果実を採取して、水で洗って果肉を落とし種子を収穫します。タネは乾燥させると発芽能力が無くなるので、速やかに用土にタネまきします。用土は赤玉土(小粒)などにまいて、覆土は1cm程です。
- タネをまいた箱など容器を外部に出して、用土が乾燥しないように管理しましょう。春には発芽します。
- 接ぎ木
- 適期は、2月下旬~3月です。八重咲き品種は、結実しないので接ぎ木で増やします。販売されているのは、カリンやマルバカイドウの台木を使った苗が多いです。ただし、自分で接ぎ木する場合は、台木を入手するのが難しいので、タネまきで増やすのがよいでしょう。(同様に、挿し木で増やすのも難しい)
- 植え付け
- 適期は、10月~11月、または厳寒期を除いた落葉期の2月下旬から3月下旬です。
- 根鉢のサイズの2倍の深さと幅の穴を掘り、掘り上げた土を戻す前に、腐葉土や完熟堆肥などの有機肥料を混ぜ込んでおきます。
- 土の表面を整えたらタップリと水を施し、土をならしておきましょう。
- 植え替え
- 適期は、3月中旬~下旬です。
日当たりがよく西日の当たらない場所で育てる
- 水やり
- コンテナの場合、春と秋の時期は表土が白く乾いたらタップリと水を施します。夏の暑い時期は、水切れに注意。冬の時期は控えめで施しましょう。
- 地植えの場合、自然にまかせて特にまく必要はありませんが、極端に乾燥する夏場などの高温期には様子をみて必要があれば、朝か夕方に散水しましょう。
- 手入れ
- 生長は緩やかなので、樹形を整える場合は、花後の6月中旬頃に速やかに剪定します。その後に枝が伸びて、枝の途中に伸びる短い枝の先に花芽がつくので、秋以後に剪定する場合は、枝先を軽く切る程度にしておきます。
- サンザシは丈夫な短い枝に花芽をつける性質があり、若くて勢いの強い長く伸びた徒長枝などには花がつかないので、花つきのことは考えずに樹形を整えることを優先したほうがよい。(花が咲くようになったら、剪定をしましょう)
- この後に、枝が伸び中ほどにできる短い枝の先端に花芽がつきます。秋以降に剪定をする場合は、枝先を軽く整える程度にして、徒長枝、枯れ枝、重なり合った枝などは切り除いておきましょう。
- 病気→うどんこ病、黒星病、赤星病赤星病は、ビャクシン類から感染するので、近くに植えないようにします。
- 害虫→アブラムシ、カイガラムシ、テッポウムシ
- 収穫
- 果実の鑑賞期は、9月~10月です。10月頃の完熟前に偽果(ぎか)を採取して、天日干しをします。乾燥させたものが、生薬の山査子です。
- 日当たり
- 日当たりのよい場所を好みます。ただし、西日の当たる場所は、乾燥も強く株が弱るので避けましょう。
- 寒さには強く、北海道南部より南の場所であれば栽培可能です。むしろ冷涼な地域は、病害虫も発生しにくく少し寒冷地の方が栽培に適している面もあります。