ツンベルギア 季節の花-蔓性タイプは緑のカーテンで涼しい日陰に-イパネマおやじ
ツンベルギア (Thunbergia) は、初夏の花期になると蔓の先端の葉の付け根から、花径3~4cmの小花を咲かせます。花冠が5裂した筒状花で漏斗のような花形をしています。初夏から秋までの長い間、真夏も元気に咲き続けて楽しませてくれます。
日当たりと水はけのよい場所を好む
- 分類:キツネノマゴ科ツンベルギア属 / 原産地:アジア、アフリカの亜熱帯~熱帯の地域
- 別名:(漢字表記:)
- 学名:Thunbergia
- 園芸分類:一年草、多年草、低木、蔓性植物 / 耐寒性(弱い)、耐暑性(強い)
- 草丈・樹高:1~10m(蔓性タイプ含む)
- タネまき:4月~5月
- 苗の植え付け:4月中旬~6月中旬(育苗後または市販の苗が流通する)
- 植え替え:4月中旬~6月中旬
- 挿し木:5月~7月
- 開花期:6月~10月下旬(種により異なる)
- 栽培方法:地植え、コンテナ(鉢植え、プランター)
- 注:記載している各適期は温暖地(中間地)での目安です。
ツンベルギア・ナタレンシス
- 特徴
- ツンベルギアの仲間は、アジアやアフリカの亜熱帯~熱帯の地域に約100種が分布するキツネノマゴ科ツンベルギア属の一年草あるいは多年草、低木です。その中でも、国内で広く栽培されているのは、一年草扱いのつる性多年草ツンベルギア・アラタ(Thunbergia alata)、常緑低木のツンベルギア・エレクタ(Thunbergia erecta)、つる性低木のツンベルギア・グランデフローラ(Thunbergia grandiflora)です。
- ツンベルギアの性質と形態は、多岐に渡りますが、基本的には熱帯性植物です。冬の寒さに弱く、一年草と多年草ともに屋外での冬越しができません。そのため、園芸分類上では多年草でも、一般的には冬には枯れる一年草とした扱われています。更に低木の場合、屋内で管理しなければ冬越しができません。ツンベルギア・エレクタなどの低木も、鉢植え栽培が一般的ですが、一年ものと割り切って地植えで栽培すれば、とても簡単に育てることができます。
- 近縁種
- ツンベルギア・アラタ(Thunbergia alata)→別名は、ヤハズカズラ。本来はつる性多年草だが、耐寒性がないので春まきの一年草として扱われている。鉢植えの場合、アサガオのようにアンドン仕立てなど、花壇の場合、フェンスやネットなどに誘引して育てる。
- ツンベルギア・エレクタ(Thunbergia erecta)→別名は、コダチハヤカズラ。原産地は熱帯西アフリカ。常緑低木で樹高は約2m程。花付きがよく、紫色の中央部が黄色い花を繰り返し咲かせる。耐寒性が低く、一般的には鉢植えに適している。
- ツンベルギア・グランデフローラ(Thunbergia grandiflora)→別名は、ベンガルヤハズカズラ。原産地は中・南部アフリカ、マダガスカル、熱帯アジア。蔓性多年草で、原産地では樹高が10mにも及ぶ。淡い青紫色の花を初夏から夏に咲かせる。
- ツンベルギア・ナタレンシス(Thunbergia natalensis)→原産地は、南アフリカのケープ地方東部~クワズールー・ナタール、スワジランド、ジンバブエ。半常緑低木で樹高は1m程。原産地は、夏には多くの降雨地帯で冬の乾季には休眠する。夏になる淡い青色~紫色の筒状花を咲かせる。
ベンガルハヤカズラ
蔓性タイプは早めに支柱かネットを設置
- 苗を選ぶ
- 全体に大振りな苗を選びがちですが、時間が経つと下葉が落ちたり、茎が倒れやすい等。見かけは小さくても、茎が太くて株張りのよい苗を選びましょう。
- 用土
- コンテナの場合、市販の草花用培用土または赤玉土(小粒)7:腐葉土3:の割合で混ぜ込んだ土を使います。(用土に市販の草花用培用土を使う場合、あらかじめ元肥が混ぜ込んである場合があるので、確認してから元肥の調整をします)
- 地植えの場合、植え付けの1週間程前に、根鉢の2~3倍の植え穴を掘って、掘り出した土に土壌改良用の腐葉土や牛ふん堆肥(1㎡当たり2~3kg)を混ぜ込んでおきます。
- 肥料
- コンテナの場合、植え付けの際に用土の中に元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。(用土に、市販の草花用培養土を使う場合、あらかじめ元肥が混ぜ込んである場合があるので、確認してから元肥の調整をしましょう)鉢底石を敷いて、苗を定植後の追肥は、生育期間中に1~2ケ月に1回、緩効性化成肥料(1株当たりティースプーン1杯を目安)を置肥、または月2~3回希釈した液肥を施します。
- 地植えの場合、植え付ける前に元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。定植後の追肥は、生育期間中に、緩効性化成肥料(1株当たりティースプーン1杯を目安)を置肥します。
- 植物の根や葉に、直接肥料が触れないように注意します。真夏(7月~8月)や冬季(休眠期)の施肥は控えめにします。
ツンべルギア・フラグランス
- タネまき
- 適期は、4月~5月です。発芽適温が20~25℃と高めなので、十分に暖かくなってから播きましょう。ツンベルギアは移植を嫌う植物なので、ポリポットまきか直まきにします。種子の表皮が硬く、普通にまくと発芽しにくいので、前日から丸一日水に浸けておきます。
- 育苗ポットまきの場合、2号ポリ鉢(直径6cm)に、市販の種まき用土か赤玉土(小粒)、またはバーミキュライトなどの清潔な用土を敷きつめ、2~3粒をまいたら1cm程覆土をします。乾燥しないよう水やりをしながら、日陰で管理します。弱い苗を間引いて、本葉が5~7枚になって茎がしっかりしたら3号ポリ鉢に植え替え、最終的に茎がしっかりしたら、花壇やコンテナに定植します。
- 花壇かコンテナに直まきする場合、気温が十分に発芽適温になってからまきます。(まく時期を遅らせることで草丈を押さえ、開花時期をズラすこともできる)「用土」と「肥料」の項目で用意した土に、30~35cm間隔で1ケ所に2~3粒まきます。表面を、しっかり土で覆い20℃以上で管理します。発芽するまでは、よく観察して水切れを起こさないように注意しましょう。双葉が生えてきたら、密になり重なった葉を早めに間引き、葉が適度に触れあう株間を保つようにして健全な苗に育てます。(株間30cm程)
- 植え付け
- 適期は、4月中旬~6月中旬です。
- 根鉢の根を傷めないように抜き取り、古い土を軽く落としてから植え付けます。
- コンテナの場合、鉢底石を敷き、「用土」と「肥料」の項目で準備しておいた先程の土をコンテナに入れます。根鉢の根を傷めないように抜き取り、根鉢を崩さないように植え付けます。根を土になじませて定植したら、植え付け直後にタップリの水を施します。(株間20cm程、60cmプランターで2~3株が目安)
- 地植えの場合、「用土」と「肥料」の項目で準備しておいた先程の土壌に植え付けます。根鉢の2倍の深さと直径2.5倍の植え穴を掘り上げます。土と根をなじませて定植したら、植え付け直後にタップリと水を施します。株間は30cm程で植え付けます。
- 植え替え
- 適期は、4月中旬~6月中旬です。多年草、低木の品種は1~2年に1回、蔓性の品種は生育旺盛で根詰まりを起こしやすいので毎年植え替えましょう。
- コンテナの場合、根詰まりを防ぎ通気をよくするために、1~2年に1回を目安に行いましょう。根鉢を1/3程軽く崩して古い土を落としてから、新しい用土と元肥を入れた1回り大きな鉢に植え替えます。(用土と元肥は「植え付け」と同じです)
- 地植えの場合、基本は必要ありません。
- 挿し木
- 適期は、5月~7月です。
- 先端から2~3節の長さで切り取り挿し穂にします。挿し床の用土は、清潔で栄養分の少ないものが適しています。市販の挿し木用土、または鹿沼土、パーライト、バーミキュライトなど保水性のよいものを使いましょう。挿し穂は、1時間ほど水に浸して水揚げしておきます。挿し床の用土は、事前に水をかけて湿らせておきます。(挿し木の手順・サイト内 ページ)
ツンベルギア・グレゴリー
一年草・多年草ともに冬には枯れる一年草として扱う
- 水やり
- コンテナの場合、土の表面が乾いたらタップリと水を施します。
- 夏は多くの水を欲しがるので水切れに注意しましょう。冬期は生長が鈍るので、回数を減らして施しましょう。(表土が乾いてから2~3日待ってから)
- 地植えの場合、降雨のみで基本的には必要ありません。
- 手入れ
- 摘芯→枝を増やして花数を増やすために作業します。適期は、草丈7~8cmか葉数が10枚程に生長したら作業します。茎先から2節下(上から2段目の葉の上の位置)で新芽を摘んでいきます。2~3週間で新しく花を咲かせます。
- 支柱の設置:つる性タイプは、フェンスやトレリス、ネットなどに誘引しましょう。夏の強い日差しから守って、涼やかな木陰を作る緑のカーテンになります。
- つるの誘引→つるの伸びる種は、早めの支柱を立てて、つるを誘引します。設置が遅れると、つるが絡み合って風通しが悪くなり、害虫も発生しやすくなります。
- 剪定→適期は、夏の終わり~秋頃に伸びすぎたり傷んだ枝を切り戻します。つる性タイプは生育旺盛なので、適宜つるの込み合った部位の間引きと、切り取りをした後のつるを支柱やネットに誘引をします。
- 置き場所→コンテナ栽培は、春から秋は屋外に置きましょう。東向き、または南向きの日当たりのよい場所で、エアコンの室外機の風が当たらない場所。(風に当たるとハダニが発生しやすい)
- 冬越し→多年草タイプは、鉢植えにして屋内で管理すれば、冬越しは可能です。11月になって霜が降りる前に、屋内やフレーム内に取り込み3℃以下にならない明るい場所で乾燥気味に管理します。冬越しができた場合は翌年の春に植え替えましょう。3月下旬~4月中旬頃暖かくなったら、まず屋外に置いて日に当てましょう。その後5月頃に植え替えます。
- 病気→特になし
- 害虫→ハダニ
- 日当たり
- 日当たりのよい場所を好みます。
- 半日陰でも育つが、花つきが悪くなったり茎が発育不良で細くなったり間伸びすることがあります。