シラー 季節の花-穂先に花序を見せ釣鐘状の花を咲かせる-イパネマおやじ
シラー (Scilla) は、10月頃に発芽して春に開花した後、夏には地上部が枯れて休眠期に入る多年草です。掘り上げは数年に一度程度の放任でも丈夫に咲きます。花色は、白色、ピンク色、紫色、複色などがあります。丈夫で、病気・害虫もほとんどなく初心者にも育てやすい草花です。春になると開花苗が流通するので、秋に球根を植え付けなくても楽しめます。
秋植えの球根植物
- 分類:キジカクシ(クサスギカズラ)科ツルボ(シラー)属 / 原産地:南アフリカ、熱帯アフリカ、ユーラシア ※ ヒアシンス科、ユリ科に分類される場合もある。
- 学名:Scilla
- 園芸分類:落葉性多年草(球根) / 耐寒性(やや弱い)、耐暑性(普通)
- 草丈・樹高:10~80cm
- 球根の植え付け:10月~11月上旬
- 分球・植え替え:10月~11月上旬
- 開花期:3月~6月上旬
- 栽培方法:地植え、コンテナ(鉢植え、プランター)
- 注:記載している各適期は温暖地(中間地)での目安です。
- 特徴
- シラーは、釣鐘状や星形の小花を、穂状または房状に咲かせます。南アフリカや熱帯アフリカ、ユーラシアに約100種の原種があるキジカクシ科ツルボ属の球根植物です。中でも、広く育てられ人気のある数種の原種とその園芸品種があります。それが、シラー・シベリカとシラー・ペルビアナで、花壇やコンテナで育てられています。因みに、人気の高いシラー・カンパニュラータ(Scilla campanulata)は、近年まで同属に分類されていましたが、ヒアシンソイデス・ヒスパニカ(Hyacinthoides hispanica)としてツリガネズイセン属に移っています。
- 近縁種 キジカクシ科ツルボ(クサスギカズラ)属
- シラー・ペルビアナ(Scilla peruviana)→地中海沿岸の原産。イベリア半島、北西アフリカ、イタリアの草原や牧草地、森林の開けた場所などに分布する球根植物。葉の中央から花茎を伸ばし、茎頂部に花序を見せ、星形の小花を20~100輪付けます。花径2cm程で、軽く反り返った6枚の花弁を持ち、長い6本の雄しべが目立つ。開花期は、5月。
- シラー・シベリカ(S. siberica)→原産地はロシア、ウクライナ、グルジアなどヨーロッパ南東部。草丈は10~20cmで、茎先に散形または総状花序を見せる。星型の中心に青い筋の入った花びら6枚の花を数輪付け。花色は、白色、濃い青色。開花期は3月~4月。
- シラー・アウツムナリス(S. autumnalis)→原産地は地中沿岸の多年草。地下に球根を持ち、地際から線形葉を出す。草丈は10~15cmで、茎頂部に総状花序を見せ花径7~10mmの花を付ける。花色は淡紫色で開花期9月~10月。
- ヒアシンソイデス・ヒスパニカ(Hyacinthoides hispanica)→キジカクシ科ヒアキントイデス属の多年草。別名は、ヒアシンソイデスと呼ばれる人気の高い種。近年までは、キジカクシ科ツルボ属に分類されていたが、ヒアキントイデス属に移されています。(詳細 サイト内ページ)
春~初夏に爽やかな色の花を咲かせる
- 用土
- コンテナの場合、赤玉土(小粒)6:腐葉土3:軽石砂1:(他には、赤玉土・小粒5:腐葉土4:パーライト1:)の割合で混ぜ込んだ土を使います。
- 地植えの場合、酸性土壌を嫌うので、植え付けの2週間程前に、深さ30cm以上に土を耕して苦土石灰(1㎡当たり100~200g)を混ぜ込んでおきます。さらに、植えつけの1週間程前に、腐葉土か完熟発酵させたバーク堆肥などを(1㎡当たり2~3kg / 2~3割位の配合比率)混ぜ込んでおきます。(更に水はけの悪い土壌は、川砂などを1~2割混ぜ込む)
※植え付けまでに、事前に石灰を混ぜ込んでおけなかった場合は、天然石灰又は有機石灰を使いましょう。(植え付け作業と同時に混ぜ込んでもよい)
- 肥料
- コンテナの場合、植え付けの際に用土の中に元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。球根を定植後の追肥は、芽だし直後、早春、花後の3回、緩効性化成肥料を置肥します。
- 地植えの場合、植え付ける際に元肥として緩効性化成肥料(1㎡当たり40~60g)を混ぜ込んでおきます。定植後の追肥は、必要ありません。
- 球根の植え付け
- 適期は、10月~11月上旬です。種により球根のサイズに応じて、深さや株間は異なります。
- 「コンテナ」
- コンテナの場合、鉢底石を敷き、「用土」と「肥料」の項目で準備しておいた土をコンテナに入れます。
- 大型・中型種→6号鉢に1球、覆土は3~5cm
- 小型種→5号鉢に3球、覆土は約1cm程の球根の先が薄く見える程度
- 「地植え」
- 地植えの場合、「用土」と「肥料」の項目で準備しておいた土壌に植え付けます。土と根をなじませて定植したら、植え付け直後にタップリと水を施します。
- 大型種→覆土は3~5cm、株間は20cm。
- 中型種→覆土は3~5cm、株間は15cm。
- 小型種→覆土は3~5cm、株間は10cm。
- 分球・植え替え
- 適期は、10月~11月上旬です。植え替えの際に、分球の作業をしましょう。
- コンテナの場合、植えっ放しでもよく育ちます。増え過ぎてきたら、堀り上げて分球します。
- 地植えの場合、基本は必要ありません。分球して増やすつもりがなければ、植えっ放しでよいでしょう。掘り上げえる場合、花後に葉が半分以上枯れた頃に掘り上げます。風通しのよい日陰で乾燥させてから、涼しい場所で貯蔵します。
秋に発芽して春に開花後に夏に休眠に入る
- 水やり
- コンテナの場合、土の表面が乾いて白っぽくなったら、株の根元の土に、鉢底から水が流れ出るくらいタップリと施します。花後に葉が枯れてきたら、回数を減らして休眠期は水を断ちます。
- 地植えの場合、降雨のみで基本的には必要ありません。
- 手入れ
- 冬越し→地植えの場合、耐寒性が高いので関東以南の平地であれば屋外での冬越しは可能ですが、株元にマルチングするなどの防寒対策をしておきます。凍結する場所では、10月~11月上旬に地中から掘り上げて、涼しい場所で貯蔵します。
- 夏越し→夏季は休眠期に入るので、掘り上げずに夏越しさせます。
- 置き場所→春から秋は屋外に置きましょう。東向き、または南向きの日当たりのよい場所に置きます。
- 花がら摘み→花後の枯れた花は早めに切り取ります。
- 病気・害虫→特になし
- 日当たり
- 日当たりと水はけのよい場所を好みます。
- 多少の半日陰でも丈夫に育ちますが、花付きの良さは日当たりに比例しているようです。
- 花後の夏は休眠期に入るが、西日や真夏日の直射に当たるのを避け、コンテナを移動してやりましょう。