カスミソウ 季節の花-暑さに強く夏に咲く花-イパネマおやじ
カスミソウ (Gypsophila) は、春先になると、細かく分枝した枝に花径1cm程の小花を多数咲かせます。暑さに弱く、花後の夏には枯れる一年草タイプや、夏の暑さに耐えて冬越しをして翌春に再び開花する多年草タイプがあります。切り花として、色々な花とも調和する、切り花の代表的品種ですね。
弱アルカリ性の土壌を好む
- 分類:ナデシコ科カスミソウ(ギプソフィラ)属 / 原産地:地中海沿岸、西アジア
- 別名:カスミソウ、宿根カスミソウ
- 学名:Gypsophila
- 園芸分類:一年草・多年草 / 耐寒性(強い)、耐暑性(やや弱い)
- 草丈・樹高:30~100cm
- タネまき:9月~10月(発芽適温20℃前後)
- 苗の植え付け:2月~4月、10月~11月(春になるとポット苗が流通する)
- 植え替え:3月、9月下旬~10月中旬(宿根カスミソウのみ)
- 株分け:3月、9月下旬~10月中旬(植え替えと同時に行う)
- 挿し芽:5月~6月、秋は10月
- 開花期:5月~7月
- 栽培方法:地植え、コンテナ(鉢植え、プランター)
- 注:記載している各適期は温暖地(中間地)での目安です。
- 特徴
- カスミソウの仲間は、地中海沿岸から西アジアを中心に約125種が分布しています。お花屋で必ず目にするのが、茎が細長く白色の小花を多数咲かせている切り花というイメージがありますね。花後に枯れる一年草タイプと、毎年のように花を咲かせる多年草タイプの2種類があります。
- 近縁種
- 一年草タイプ:カスミソウ (Gypsophila elegans)→ウクライナ地方、コーカサスが原産で、夏には暑さで枯れる一年草。中間地では、秋まきして春に開花する。花径1cm程の小花を多数咲かせるタイプや、花径2cm程のやや大きめの花を咲かせるタイプもある。草丈は、50~80cmで高めの品種や、20~30cmの矮性種もある。
- 多年草タイプ:宿根カスミソウ (G. paniculata)→地中海沿岸から中央アジア、シベリアが原産地。夏の暑さに耐えて冬越しができる。地上茎を枯らして冬越し、春になると地上に茎を伸ばして開花する。一年草タイプと比べると、花が密に咲いて華やかさがある。一重咲き、八重咲きがある。管理が手間ならば、秋にタネまきして翌春に開花させるのが初心者にも簡単です。
- その他の種:オノエマンテマ (G. cerastioides)→別名はカーペットカスミソウ。ヒマラヤが原産の高山植物です。亜高山や高山の岩場や砂礫地に自生する多年草で、白地の花弁に紫色の縦線が入る。草丈は、10~25cm。
弱アルカリ性土壌を好むので苦土石灰を混ぜ込む
- 用土
- コンテナの場合、市販の草花用培養土にパーライトを1割程混ぜた土、または赤玉土(小粒)5:腐葉土3:パーライト2:の割合で混ぜ込んだ土を使います。(用土に、市販の草花用培養土を使う場合、あらかじめ元肥が混ぜ込んである場合があるので、確認してから肥料の調整をしましょう)酸性土壌が苦手なので、少量だけ苦土石灰を混ぜ込みます(用土1L当り3~5g)
- 地植えの場合、植え付けの2週間程前に、深さ30cm以上に土を耕して苦土石灰を混ぜ込んでおきます(1㎡当り150~200g)さらに、植えつけの1週間程前に、土壌改良用の牛ふん堆肥や腐葉土を(1㎡当り2~3kg)混ぜ込んでおきます。
- 肥料 チッ素分が多いと茎が徒長して花つきが悪くなる
- コンテナの場合、鉢底石を敷いて、苗を定植後の追肥は、10月~11月、3月~5月に各1~2回、少なめに緩効性化成肥料を置肥します。(化成肥料は同量配合8:8:8を使います)
- 地植えの場合、苗を定植後の追肥は、開花前の3月~5月に1~2回、少なめの速効性化成肥料を置肥します。(化成肥料は同量配合8:8:8を使います)
- 肥料の3要素は、チッ素分(主に葉を生長させる)、リン酸分(花や実を生長)、カリウム分(根を生長)です。肥料の3要素は化成肥料8:8:8を使います。
- 追肥の際は、植物の根や葉に直接肥料が触れないように注意しましょう。
日当たりと水はけのよい場所を好む
- タネまき 発芽適温20℃前後
- 適期は、9月~10月です。
- 箱まきかポリポットまきにします。市販の種まき用土かバーミキュライト(小粒)を敷きつめ、1ケ所に4~5粒をまいたら、タネがみえる程度に薄く覆土をします。箱まきの場合は、弱い苗を間引きながら本葉が2~3枚になり茎がしっかりしたら、ポリポットに移して仮植えします。ポリポットまきの場合も同様に、本葉が5~7枚になって茎がしっかりしたら、花壇やコンテナに定植します。
- 植え付け
- コンテナの場合、鉢底石を敷き、丁寧に根鉢を引き抜いたら、根鉢を崩さないように植え付けます。「用土」と「肥料」の項目で準備しておいた先程の土をコンテナに入れ、土と根をなじませて定植したら、植え付け直後にタップリの水を施します。(根張りがよいので株間は30cm)
- 地植えの場合、「用土」と「肥料」の項目で準備しておいた先程の土壌に植え付けます。根鉢の2倍の深さと直径2.5倍の植え穴を掘り上げます。根鉢を傷めないように、土と根をなじませて定植したら、植え付け直後にタップリと水を施します。株間は30cm位空けて植え付けます。(排水性のよい土壌にするために高畝を作ってもよい)
- 植え替え
- 適期は、3月、9月下旬~10月中旬です。宿根タイプを植え替えます。
- コンテナの場合、根詰まりを防ぎ通気をよくするために、毎年植え替えましょう。根鉢を崩さないように、新しい用土と元肥を入れた1回り大きな鉢に植え替えます。経年と共に、花の質が劣化してきたらタネまきや挿し芽をして作り直しましょう。
- 地植えの場合、基本は必要ありません。
- 増やし方 宿根カスミソウは株分けや挿し芽で増やせます
- 株分け→適期は、3月、9月下旬~10月中旬です。植え替えの際に、同時に作業しましょう。
- 挿し芽→適期は、5月~6月、秋は10月です。新芽の先端を、4~7cmの長さで切り取り挿し穂にします。(挿し芽の詳細ページ)
過湿になると根腐れを起こしやすい
- 水やり
- コンテナの場合、生育期間を通じて土の表面が乾いたらタップリと水を施します。過湿に弱いので控えめに施しましょう。(表土が乾いてから2~3日待ってから)
- 地植えの場合、基本的には必要ありません。
- 手入れ
- 摘芯→適期は、新芽の出る3月頃です。先端を摘芯することで、脇芽が多数出て花数を増やせます。
- 切り戻し→多年草タイプは、花後には根元から数節残して切り戻しましょう。
- 支柱たて:草丈が高くなるタイプは、茎が倒れやすいので支柱を設置しましょう。
- 防寒対策→多年草タイプの地植えの場合、関東以南の平地であれば屋外での冬越しは可能ですが、凍結する場所では、株元にマルチングするなどの防寒対策が必要です。
- 病気→立ち枯れ病、菌核病
- 害虫→アブラムシ、ハダニ
- 日当たり
- 日当たりと風通しのよい場所を好みます。
- 地植えの場合、植えつける前に日当たりと水はけのよい場所か、チェックして定植しましょう。