インパチェンス 季節の草花-日陰や厳しい環境でもよく育つ-イパネマおやじ
インパチェンス (Impatiens) は、春にタネまきをして春~秋までの長い間を咲き続ける一年草です。早ければ5月頃開花して11月上旬まで咲き続けます。花期になると、分枝した茎先の葉の付け根から花柄を伸ばして、花径3~5cmの花を咲かせます。花びらは5枚に見えますが、実は左右に側花弁の2枚が基部で合着しているので、細かく言えば3枚花弁の花なんですね。(熱帯植物の花は、実は・・・という複雑な成り立ちの花弁を持った種が結構ありますね)下側の萼片からは、例の個性的な「距(きょ)」という長い筒を伸ばしていて、内部に蜜が入っています。
育てPOINT
夏の暑さにも強く、半日陰でも丈夫に育ち花を咲かせます。シェードカーデンを仕立てる際には、欠かせない花として人気があります。花色は、白、オレンジ、jピンク、赤色などがあります。
※ youtube動画投稿しています。イパネマおやじ チャンネルへ
湿潤な環境を好む
- 分類:ツリフネソウ科ツリフネソウ(インパチェンス)属 / 原産地:熱帯アフリカ
- 別名:ホウセンカ、アフリカホウセンカ
- 学名:Impatiens walleriana
- 園芸分類:一年草 / 耐寒性(弱い)、耐暑性(やや弱い)
- 草丈・樹高:15~40cm
- タネまき:4月下旬~5月中旬
- 苗の植え付け:4月下旬~7月上旬(育苗後または市販の苗が流通する)
- 植え替え:一年草扱いなので、基本的に植え替えの必要はありません。もし冬越しをした場合は、春に植え替えましょう。
- 開花期:5月~11月上旬
- 栽培方法:地植え、コンテナ(鉢植え、プランター)
注:記載している各適期は温暖地(中間地)での目安です。
- 特徴
- インパチェンスの仲間は、アジアやアフリカの亜熱帯~熱帯地域に約500種が分布しています。国内で自生している、ホウセンカ(Impatiens balsamina)も同属ですが、一般的に流通上で「インパチェンス」と呼ばれているのは、当ページ記載のアフリカホウセンカ(I. walleriana)と、その園芸品種を指しています。
- 原産地では、毎年花を咲かせる常緑多年草です。国内では寒さに弱く霜の降りる頃には枯れてしまうので、春にタネまきして夏~秋まで咲き花後に枯れる一年草として扱います。温室などの温暖な環境で10~15℃以上が保てれば、一年を通じて開花を楽しむこともできます。
- 近縁種・園芸品種
- 「カリフォルニアローズ・フィエスタ」シリーズ(Impatiens walleriana Fiesta Series)→草丈25~40cmで、花径3~4cm。花弁が幾重にも重なりバラのような花形。日陰の女王として長年愛されています。
- サンパチェンス(Impatiens ‘Sunpatiens Series’)→国内の種苗会社「サカタのタネ」が作出した品種。草丈50~80cmで、花径5~6cm。花弁が厚く雨などによる傷みに強い。
日当たりを好むが半日陰でも育つ
- 用土
- 鉢植えの場合、市販の草花用培養土または赤玉土(小粒)4:鹿沼土(小粒)2:腐葉土2:ピートモス2:の割合で混ぜ込んだ土を使います。(ピートモス2:は腐葉土でもよい→腐葉土は合計4:)
- 用土に、市販の草花用培養土を使う場合、あらかじめ元肥が混ぜ込んである場合があるので、確認してから元肥を施します。
- 地植えの場合、掘り上げた土に対して土壌改良用として完熟堆肥や腐葉土2~3割を混ぜ込んでおきます。(水はけが悪い土壌なら、更に川砂などを1~2割混ぜ込む)
- 肥料 真夏の施肥は控える
- 鉢植えの場合、植え付けの際に用土の中に元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。定植後の施肥は、開花中の5月~7月、9月中旬~11月中旬に、月1回リン酸・カリ分の多い化成肥料を置肥します。
- 地植えの場合、植え付ける前に元肥として牛ふん堆肥を混ぜ込んでおきます。定植後の施肥は、開花中の5月~7月、9月中旬~11月中旬に、月1回リン酸・カリ分の多い化成肥料を置肥します。
- 置肥をする際には、株元は避け枝先の端下の地表部にまきます。
- タネまき
- 適期は、4月下旬~5月中旬です。タネは小粒なので、ピートパンか箱まきにして、好光性なので覆土はウッスラと隠れる程度にします。鉢にまく場合、ピートモスとバーミキュライトを同量混ぜ込んだ用土にまきます。覆土は薄く隠れる程度で、水やり方法は受け皿に水を張って鉢を水につける「腰水」で鉢底から吸水させると育てやすいです。タネまきから開花まで約60日間かかるので、水を切らさないように管理します。発芽温度は20~25℃前後とやや高めなので、寒い時期に早まきしないようにしましょう。
- 植え付け
- 苗の植え付け適期は、4月下旬~7月上旬です。
- 「用土」と「肥料」の項目で準備しておいた土壌に植え付けます。
- 鉢植えの場合、鉢底石を敷き、根鉢の根を傷めないように軽く崩す程度で植え付けます。定植したら、用土と元肥を混ぜ込んで用意しておいた先程の土を鉢に戻します。植え付け直後にタップリの水を施します。
- 地植えの場合、根鉢の2倍の植え穴を掘り上げます。定植したら、用土と元肥を混ぜ込んで用意しておいた先程の土を植え穴に戻します。植え付け直後にタップリと水を施します。株間は25~30cm位空けて植え付けます。
- 植え替え
- 一年草扱いなので基本的には植え替えの必要はありません。もし、無事に冬越しをした場合は、春に植え替えましょう。(サイト内 詳細ページ)
- 挿し芽
- 適期は、5月~7月上旬です。枝先から3~4節の長さで切り取り挿し穂にします。上部に5~6枚の葉を残し、下部の葉は取り除きます。1時間程水揚げして、赤玉土(小粒)か、ピートモスとパーライトを同量混ぜ込んだものを挿し床にします。1~2週間で発根したら、ポットに仮植えして苗を育てます。
夏場の土壌乾燥には注意する
- 水やり
- 鉢植えの場合、土の表面が乾いたら鉢底から少し流れ出るくらいタップリと水を施します。
- 真夏は夕方に、鉢中と鉢の外側全体にタップリと水をかけて夜間温度を下げるようにします。通常の季節は朝方に施しましょう。
- 地植えの場合、基本的には必要ありません。但し、葉や花に張りがなくなりかけたら施しましょう。
- 手入れ
- 切り戻し→枝を増やして花数を増やすために、梅雨明け後に思い切って花の咲いている枝も含めて全て切り戻します。茎の1/2の長さで、全ての茎を長短の差をつけて切り戻します。(枝先部を均一の長さで揃えずに、デコボコの長さにする方が、花芽が重ならずに花数が多くなる)
- 花がら摘み→花後の枯れた花は茎の元から切り取ります。
- 病気→灰色かび病
- 害虫→アブラムシ、ハダニ
- 日当たり
- 西日や直射日光に当たるのを避けましょう。鉢を移動しましょう。
- 半日陰でも育ち次々と花を咲かせます。秋からは、ある程度日光に当てるほうが長く咲き続けます。
- 地植えの場合、植えつける前に場所の環境をチェックして、それでも日当たりが厳しい場合は、寒冷紗などで直射日光を遮るようにします。