スターチス 季節の花-秋に種まきして翌春に開花する-イパネマおやじ-
スターチス (Statice) は花期の5月頃になると、分枝した茎先に円錐花序または穂状花序を見せ、華やかな色合いの花を咲かせますが、実は花色の美しいのは萼片で、本当の花は筒状の萼の中に咲きます。数ある品種の中でも、2~3種が観賞用や切花用として高い人気があります。
高温多湿に弱い
- 分類:イソマツ科イソマツ(旧スターチス)属 / 原産地:ヨーロッパ、北アフリカ、西アジア
- 別名:ハナハマサジ、ニワハナビ、ヒロハノハマサジ
- 学名:Limonium
- 園芸分類:一年草、二年草又は多年草 / 耐寒性(中程度)、耐暑性(弱い)
- 草丈・樹高:40~100cm
- タネまき:9月中旬~10月
- 苗の植え付け:10月~11月(タネまき育苗後)、3月~4月(市販の苗が流通する)
- 植え替え:10月~11月
- 開花期:5月~7月
- 栽培方法:地植え、コンテナ(鉢植え、プランター)
- 注:記載している各適期は温暖地(中間地)での目安です。
- 特徴
- スターチスの仲間は、世界の海岸沿いや荒れた砂地などに約150種が分布するイソマツ科イソマツ属の一年草・二年草又は多年草です。一年草・二年草あるいは短命の多年草として栽培されています。華やかな色合いで花のように見えるのは実は萼片で、花は筒状の萼の内部に咲きます。茎先に円錐花序または穂状花序を見せ、多数の萼片を付けます。一般的には、国内の夏の高温多湿に弱いので、秋に種まきして翌春に開花して、夏には枯れる一年草として扱われることが多いです。
- スターチスは、ある程度育った苗は、晩秋~冬期に10~15℃の低温に当たることで(遭遇する)、花芽が形成され始める、低温感応という性質を持っています。
- 近縁種
- 宿根スターチス→一年草の品種と比べると耐寒性・耐暑性があり温暖地でも宿根します。カスミソウに似た咲き方をして、花もちがよいので切り花として人気があります。
- ハナハマサジ(Limonium sinuatum)→スペイン、モロッコ、チュニジア、リビア、アルジェリア原産の一年草又は二年草。草丈は30cm程で、耐寒性は中程度、暑さには弱い。枝は三角形で、茎先に円錐花序か穂状花序を見せ、数本に小穂を付ける。萼片は、青色、紫色、黄色や桃色で、花色は白色の小花。国内では、最も広く栽培されている品種で、一般的に「スターチス」と呼ばれるのは当種を指しています。半耐寒性の短命は多年草として扱われる。
- べリディフォリウム(Limonium bellidifolium)→別名は、カスピア。原産地は、ヨーロッパ、アジア南西部の常緑多年草。草丈は、15~120cmで耐寒性はあるが、暑さに弱い。花序は小穂が集合した円錐花序で、長さは50~60cm。花色はピンク~淡いラベンダー、ブルー色。開花期は7月~10月。
長雨に弱いのでコンテナ栽培が望ましい
- 用土(苗の植え付け用土)
- コンテナの場合、市販の草花用培用土にパーライトを2割程混ぜ込んだ土、または赤玉土(小粒)6:腐葉土3:パーライト1:の割合で混ぜ込んだ土を使います。(他には赤玉土(小粒)5:腐葉土3:川砂2:など)
- 地植えの場合、中性~弱アルカリ性の土を好むので、植え付けの2週間程前に、深さ30cm以上に土を耕して苦土石灰(1㎡当たり100~200g)を混ぜ込んでおきます。さらに、植え付けの1週間程前に、土壌改良用の腐葉土か完熟堆肥(1㎡当たり2~3kg)を混ぜ込んでおきます。(更に水はけの悪い土壌は、川砂などを1~2割混ぜ込む)
- 肥料 あまり多くの肥料を必要としない
- コンテナの場合、植え付けの際に用土の中に元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。(用土に、市販の○○用培養土を使う場合、あらかじめ元肥が混ぜ込んである場合があるので、確認してから元肥の調整をしましょう)鉢底石を敷いて、苗を定植後の追肥は、3月~5月の間に、生育の様子を見て少量の緩効性化成肥料(用土1リットル当たり2~3g)を置肥、または希釈した液肥を施します。
- 地植えの場合、植え付ける前に元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。定植後の追肥は、3月~5月の間に、生育の様子を見て少量の緩効性化成肥料を置肥します。
- タネまき
- 箱まきにします。発芽適温は15~20℃、3~5日で発芽します。
- 適期は、9月中旬~10月です。箱まきにします。て覆土は5mm程 湿らせた用土に4~5粒をまく。用土は、赤玉土(小粒)5:調整済みピートモス2:バーミキュライト3:などが代用的な配合。(他にはピートモスかパーライトの単体など)
- 箱まきの場合、容器に用土を敷きつめ、新聞紙で覆った上から霧吹きをするなど、事前に土を湿らせておきます。タネをバラまきしたら5mm程の覆土をします。本葉が2~3枚になったらポリポットに鉢上げ(植え替え)します。ポリポットに根が回ったら1本立ちにして、さらに、一回り大きなポリポットへ鉢上げ(植え替え)します。その後は花壇やコンテナへ定植します。移植の際に根を傷めると、その後の根付きがよくないので、ある程度根が張ったら早めに定植。
- 植え付け
- 適期は、10月~11月です。
- コンテナの場合、鉢底石を敷き、「用土」と「肥料」の項目で準備しておいた先程の土をコンテナに入れます。根鉢の根を傷めないように、丁寧に植え付けます。根を土になじませて定植したら、植え付け直後にタップリの水を施します。(株間は25~30cm )
- 地植えの場合、「用土」と「肥料」の項目で準備しておいた先程の土壌に植え付けます。根鉢の2倍の深さと直径2.5倍の植え穴を掘り上げます。土と根をなじませて定植したら、植え付け直後にタップリと水を施したら、支柱を立てます。(株間は25~30cm )
- 植え替え
- 一年草扱いなので、基本的には植え替えの必要はありません。多年草の品種で高温多湿の環境に適合すれば夏越しは可能です。長雨の時期は、風通しがよく雨に当たらない軒下などに移しましょう。
- コンテナの場合、根詰まりを防ぎ通気をよくするために、1~2年に1回を目安に行いましょう。根鉢を1/3程軽く崩して古い土を落とし、新しい用土と元肥を入れた1回り大きな鉢に植え替えます。
- 地植えの場合、必要ありません。
15℃以下の低温に30日程当てないと花が咲かない
- 水やり
- コンテナの場合、土の表面が乾いて白っぽくなったら、株の根元の土に、鉢底から水が流れ出るくらいタップリと施します。朝のうちに水やりをするのがベストです。
- 地植えの場合、降雨のみで基本的には必要ありません。
- 手入れ
- 防寒対策→地植えの場合、耐寒性は中程度ありますが霜に当たると枯れててしまします。関東以西の平地であれば屋外での冬越しは可能ですが、凍結や霜の降りる場所では、株元にマルチングするなどの防寒対策が必要です。
- 花がら摘み→開花期の花後に枯れた花は、放置せずに小まめに摘み取りましょう。
- 支柱立て→植え付け直後にタップリと水を施したら、支柱を設置しておきます。
- 病気→立枯病、灰色かび病
- 害虫→アブラムシ
- 日当たり
- 日当たりと風通しのよい場所を好みます。