シネラリア(サイネリア) 季節の花-冬植えの草花-イパネマおやじ
シネラリア (Florist’s Cineraria) は、色鮮やかな花を咲かせる冬の鉢物として人気があります。12月頃になると細かく分枝した茎先に、花径4~7cmの頭花をたくさん咲かせます。花弁は中心の筒状花と花びらのような舌状花から構成されて、舌状花は多くの品種で、基部の色が変化して複色になります。草丈20~40cm程の半球状になり、華やかな色合いの花を咲かせます。冬から春の屋内用鉢花としてお馴染みの草花です。花色は、白、黄、ピンク、青、紫、複色など多彩な品種があります。寒い時期に、窓辺に置いて春までの長い間を楽しませてくれる、冬の花として育てたい草花です。
暑さ寒さに弱いのでコンテナで栽培
- 分類:キク科ぺリカリス属 / 原産地:アゾレス諸島、カナリア諸島、マディラ諸島
- 別名:サイネリア、フウキギク(漢字表記:富貴菊)
- 学名:Pericallis × hybrida
- 園芸分類:多年草 / 耐寒性(弱い)、耐暑性(弱い)
- 草丈・樹高:20~60cm
- タネまき:9月中旬~下旬(夏まきは6月~7月)注:夏まきは暑さ対策が難しいので9月にまく方が育てやすい。高温下だと発芽率が低くなるので、涼しくなってからが適期です。
- 苗の植え付け:11月~12月(育苗後)、1月~2月(市販の開花苗が流通する)
- 植え替え:冬に流通する開花苗は根詰まりを起こしていることが多いので、様子をみて植え替える。
- 開花期:12月~4月
- 栽培方法:コンテナ(鉢植え、プランター)
- 注:記載している各適期は温暖地(中間地)での目安です。タネまきや苗植えの適期を表示していますが、大まかな目安です。最近の気候変動により、地方別(関東地方、東北地方など)の適時期表示は難しくなっています。栽培地別の気候は、気象庁のページなどを参考にしてください。
※ 適期は発芽適温、生育適温などの数値を基準に判断してください。
- 特徴
- シネラリアの仲間は、北アフリカ、カナリア諸島、マディラ諸島に約14種が分布するキク科ぺリカリス属の多年草です。現在、世界中で広く栽培されているのは、カナリア諸島原産のぺリカリス・クルエンタ種(Pericallis cruenta)とぺリカリス・ラナータ種(P. lanata)を親種として作出された園芸品種です。本来、原産地では多年草ですが、日本の高温多湿の気候が苦手なため、夏に枯れる一年草として扱われています。流通上ではシネラリアと呼ばれているが、園芸分類ではぺリカリス属に分類される植物です。
- 冬の時期に、色鮮やかな花を咲かせて窓辺を飾る鉢物として人気があります。冬に流通する開花苗は温室で育てられているので、地植えにすると寒さで枯れてしまいます。一般的には開花苗を購入して育てますが、手間と経験が必要ですが、ビニールハウスやフレームなどの設置ができれば、タネまきからでも栽培が可能です。
春になり霜の降りる心配がなくなれば、屋外で育てることも可能です。雨に当たると傷みやすいので、軒下や直に雨の当たらない場所に置きましょう。
- 近縁種
- ぺリカリス・クルエンタ(Pericallis cruenta)→カナリア諸島の原産で多年草。草丈は30~100cm。茎先に、散房花序を見せ手、花径2~3cmの小さな頭花を多数付ける。舌状小花の花色は、ピンク~薄紫色で、中心小花は紫色。開花期は4月~5月。
- ぺリカリス・ラナータ(P. lanata)→カナリア諸島の原産で多年草。草丈は15~40cm。茎は木質で伏せ~半直立性。茎先に、花径3~5cmの頭花は、暗紫色の筒状花を付ける。薄紫色の周辺小花を10~16個付ける。開花期は3月~6月。
霜や雨に当たると枯れやすい
- 苗を選ぶ
- 1月~2月頃に流通する開花苗を選ぶ際には、ツボミが多いものか咲き始めたばかりの苗を選びましょう。また、株元が綺麗で葉が傷んでいないものを選びましょう。
- 用土(苗の植え付け用)
- コンテナ・鉢植えの場合、市販の草花用培用土または赤玉土(小粒)6:腐葉土3:パーライト1:(他には赤玉土(小・中粒)5:調整済みピートモス2:バーミキュライト2:もみ殻くん炭1:など)の割合で混ぜ込んだ土を使います。(用土に市販の培用土を使う場合、あらかじめ元肥が混ぜ込んである場合があるので、確認してから元肥の調整をします)
- 肥料
- 初期の養分吸収量は少ないのですが、生育の途中から多めに肥料を吸収します。肥料切れを起こすと、葉が変色したり花が咲かなくなったりします。追肥を施すのは開花期の前後、11月~3月頃は肥料切れを起こさないように管理しましょう。
- コンテナ・鉢植えの場合、植え付けの際に用土の中に元肥として少量(1リットル当たり2~3g)の緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。鉢底石を敷いて、苗を定植後の追肥は、開花期間の前後11月~3月の間、緩効性化成肥料を定期的に置肥、または月2~3回液肥を施します。
- タネまき
- 発芽適温は15~20℃で、高温下だと発芽率が低くなるので、涼しくなってからが適期です。市販の開花苗に比べると、開花時期は少し遅くなりますが、寒さに強い株に育てることができます。微細種子で好光性なので箱まきにします。無肥料の用土を用いた場合、葉色が極端に薄くなる時は薄めの液体肥料を施します。
- 箱まきの場合、市販のタネまき用土、または単体では赤玉土(小粒)や整済みピートモスなどを容器に敷きつめ、タネをまいたら覆土はしないで、涼しい場所に置いて底面吸水をしながら発芽を待ちましょう。本葉が2~3枚になったら2.5~3号ポリポットに鉢上げ(植え替え)します。1ケ月半程でポリポットに根が回ってくるので、さらに、一回り大きな5号ポットへ鉢上げします。その後は、フレームやビニールハウスなどへ入れて育苗します。水やりは、やや乾燥気味に管理します。
- ※ 一般的な例では→ポリポットまきして更に別のポリポットへ移植(鉢替え)するのは→ポリポットまきの場合、5~6号サイズにまいて弱い苗を間引きながら育苗ます。本葉が2~3枚になったら根鉢を取り出し、1本づつに分けて2~3号サイズのポリポットへ鉢上げ(移植)します。本葉が5~7枚になったら花壇や鉢へ定植します。→「2回ポリポットを移す理由」→スペースが狭くなり苗どうしが牽制しあって、生育不良をおこさないためと、花壇や鉢に移すにはまだ小さいので、定植する鉢よりも小さいポリポットに移して育苗する、というのが2回も鉢上げをする理由です。
- 植え付け 生育適温は10~16℃
- 適期は、11月~12月(タネまきから育苗後)、1月~2月(市販の開花苗が流通する)です。
- コンテナ・鉢植えの場合、鉢底石を敷き、「用土」と「肥料」の項目で準備しておいた先程の土をコンテナに入れます。根鉢の根を傷めないように植え付けます。根を土になじませて定植したら、植え付け直後に鉢底から流れ出るまでタップリと水を施します。
- 植え替え
- 夏の暑さで枯れる一年草扱いなので植え替えの必要はありません。
- 冬季に流通する開花苗を購入すると、根詰まりを起こしていることが多いです。鉢底から根が出ている場合は、根鉢を抜き取って崩さないように丁寧に一回り大きな鉢へ植え替えます。
冬の代表的な鉢物
- 水やり
- コンテナ・鉢植えの場合、土の表面が乾いて白っぽくなったら、株の根元の土に、鉢底から水が流れ出るくらいタップリと施します。株が生長してくると、多量の水を吸収するので水切れを起こしやすいので注意しましょう。
- 手入れ
- 花がら摘み→茎上部から開花していくので、花後の花を早めに摘み取ることで、下部にあるツボミが次々と開花していきます。
- 花後の切り戻し→適期は、冬季に咲いた花がらを摘み取りして、花数が少なくなる頃。脇芽のある節の真上で切り戻すと、3月~4月頃に再び新しい花茎が伸びて再び花を咲かせます。
- 防寒対策→シネラリアは、冬の寒い時期に開花するので、地植えには適しません。タネまきから育てたら、鉢植えにして、屋内やフレーム内などで育てます。(特に、冬に流通する開花苗は、一般的には温室で育てられているので、室内やフレーム内に置いて育てないと、寒さで枯れてしまいます)
- 病気→苗立ち枯病、灰色かび病
- 害虫→アブラムシ
- 日当たり
- 日当たりと風通しのよい場所を好みます。
- コンテナ・鉢植えは、秋のお彼岸頃までは屋外の半日陰で涼しい場所に置きましょう。11月~12月上旬頃までは、日に当たる場所に置き、冷え込むようになったら室内に取り込みましょう。