コリウス 季節の花-6月まで植え付けできる-イパネマおやじ
コリウス (Coleus) は、東南アジア原産で耐暑性が高く、病害虫の発生が殆んどない育てやすい観葉植物です。葉の形はシソのような、先の尖った卵形のものから、深い切れ込みのあるキクのような形状を持つものなど多くの品種があります。葉の派手さに隠れて目立ちませんが花もつけます。初夏になると青紫色の小花を咲かせますが、葉を観賞したい場合は、花を摘み取ることで通年で鮮やかな葉が楽しめます。
実生系と栄養系がある
- 分類:シソ科サヤバナ(プレクトランサス)属 / 原産地:熱帯・亜熱帯アジア、オーストラリア
- 和名:キンランジソ(金襴紫蘇)
- 別名:ニシキジソ
- 学名:Plectranthus scutellarioides (=Solenostemon scutellarioides =Coleus blumei Be,th.)
- 英名:Coleus
- 園芸分類:多年草(一年草扱い) / 耐寒性(弱い)、耐暑性(普通)
- 草丈・樹高:20~100cm
- タネまき:4月下旬~5月(発芽適温25℃前後)
- 苗の植え付け:5月中旬~6月(育苗後または市販の苗が流通する)
- 植え替え:冬には枯れる一年草なので必要ありません。(フレームや室内で冬越しが出来た場合は「冬越し・植え替え」の項目を参照)
- 挿し芽:6月~8月
- 開花期・観葉期:6月~10月
- 栽培方法:地植え、コンテナ(鉢植え、プランター)
- 注:記載している各適期は温暖地(中間地)での目安です。タネまきや苗植えの適期を表示していますが、大まかな目安です。最近の気候変動により、地方別(関東地方、東北地方など)の適時期表示は難しくなっています。栽培地別の気候は、気象庁のページなどを参考にしてください。
- ※ 適期は発芽適温、生育適温などの数値を基準に判断してください。
- 特徴
- コリウスは、アフリカやアジア、オーストラリアなどに約200種以上が分布するシソ科サヤバナ(プレクトランサス)属の多年草または一年草です。以前はコリウス属に分類されていましたが、後にソレステモン(Solenostemon)属とされたが、さらに近年はサヤバナ (Plectranthus) 属に分類されています。コリウスの名前は旧属名が定着したものです。
- 約200種ある中でも、主に流通しているのはプレクトランサス・スクテラリオイデス(Plectranthus scutellarioides)を親として交配、作出された園芸品種です。葉の観賞用として世界中で栽培されている種で、自生地では通年で花を咲かせる常緑多年草です。耐寒性が低いため、国内では一年草として扱われています。
- シソ科の園芸植物だが、花を観賞したり食用として利用するのではなく、個性的でカラフルな葉の色模様を観賞する観葉植物として人気があります。葉姿は少し紫蘇に似ていて、秋に花穂が出ると、改めてシソの仲間と 思わせる植物です。花が開花すると葉色が褪せるので、花芽が出てきたら、すぐ下の節から切り取って開花させないようにすると葉色が鮮やかになります。
- 近縁種・園芸品種
- プレクトランサス属
- プレクトランサス・スクテラリオイデス(Plectranthus scutellarioides)→和名は、キンランシソ(金襴紫蘇)で、インドや東南アジア、オーストラリア、中国などに分布しています。草丈50~150cmで、直立又は斜上。紫色の茎が分枝する。葉柄は2~5cmで葉身は卵型で黄色、緑色、紫色、暗赤色。円錐花序は長さ5~10cm、輪散花序は花径1.5cmの小花が多数付く。花色は青色~紫色で開花期は7月頃。
- コリウス属
- 主にアフリカの属で草本又は木本低木。世界中に約150種あるとされ、東半球とオーストラリアの熱帯に分布する。葉には葉柄があり縁には歯がある。輪散花序を見せ、多数の小花を付け、総状又は円錐花序になる。
- 実生系→夏以外は明るい日陰や半日蔭で育てる
- ケアフリー系統:葉の切れ込みが入り縁が丸い形状。
- サーベル系統:葉は全体に細長く、先端が尖り縁の切れ込みは浅い。
- フリンジ系統:葉の本体の切れ込みはないが、縁は切れ込んでいて大きく波打つような形状。
- レインボー系統:この品種の基本的な葉の形で、シソによく似て縁が波打つような形状。
- 栄養繁殖系→明るい日陰や半日蔭で育て、気温が15℃以下の時期は室内へ取り込むと冬越しが可能。温度、日当たり、肥料により葉色が変化する
- ウェーブタイプ:葉は波打ち、こんもりと盛り上がるような形状になる。
- ハンギングタイプ:小さな葉で、コンパクトな株姿で横に広がるように生育する。寄せ植えに適する。
- プチタイプ:葉が小さく、分枝が活発で生育が旺盛なので、花壇の前面に植えると映えます。
葉を鑑賞する観葉植物
- 苗を選ぶ
- なるべく葉が多く付いている苗を選びましょう。
- 用土
- コンテナの場合、市販の草花用培用土または赤玉土(小粒)6:腐葉土3:牛ふん堆肥1:の割合で混ぜ込んだ土を使います。(用土に市販の培用土を使う場合、あらかじめ元肥が混ぜ込んである場合があるので、確認してから元肥の調整をします)
- 地植えの場合、植え付けの1週間程前に、根鉢の2~3倍の植え穴を掘って、掘り出した土に土壌改良用の腐葉土や牛ふん堆肥(1㎡当たり2~3kg)を混ぜ込んでおきます。
- 肥料
- コンテナの場合、植え付けの際に用土の中に元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。(用土に、市販の培養土を使う場合、あらかじめ元肥が混ぜ込んである場合があるので、確認してから元肥の調整をしましょう)鉢底石を敷いて、苗を定植後の追肥は、5月中旬~9月の間、月3~4回液体肥料を施します。
- 地植えの場合、植え付ける前に元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。定植後の追肥は、5月中旬~9月の間、2ケ月に1~2回緩効性化成肥料を置肥、または月3~4回液体肥料を施します。
- 多肥になると葉色が褪せてしまう事があるので、生育と葉色を観察しながら調整します。追肥として、月に○~○回、固形肥料を置肥(1株当たりティースプーン1杯)します。
一般的に春まき一年草として扱う
- タネまき
- コリウスは微細種子で発芽し難いので、初心者には少しハードルが高いといえます。春から流通する苗から育てるのが手軽です。
- 適期は4月下旬~5月です。発芽の適温が25℃前後と、高めなので充分暖かくなってから播きましょう。
- タネは微細種子なので風に飛ばされないように注意。ピートバンか箱まきにします。
- タネは好光性種子なので、まいたら覆土をしない。
- 箱まき(セルトレイなど)の場合、市販の種まき用土か赤玉土(小粒)などの清潔な用土を敷きつめ、数粒をまいたら覆土はしません。水を受け皿に入れ、底面吸水させて管理します。(タネが飛ばされないように、乾燥する前に霧吹きで湿らせておく)1週間程で発芽します。
- ピートバンの場合、専用トレイに入れて十分に吸水させます。底に溜まった余分な水を捨て、均一にタネをまきます。
- 弱い苗を間引きながら本葉が2~3枚になりったら、数本を2号ポリポットに植え替えます。さらに本葉が5~7枚になって根が回ってきたら3号ポリポットに植え替え、薄めの液体肥料を施しながら苗を育てます。根が回ってきたら、花壇やコンテナに移して定植します。
- 植えつけ
- 適期は、5月中旬~6月です。水はけがよく、適度に水持ちのよい湿り気のある土壌が適しています。
- コンテナの場合、鉢底石を敷き、「用土」と「肥料」の項目で準備しておいた先程の土をコンテナに入れます。根鉢を崩さないように、注意して植え付けます。根を土になじませて定植したら、植え付け直後にタップリの水を施します。(株間20~25cm)
- 地植えの場合、「用土」と「肥料」の項目で準備しておいた先程の土壌に植え付けます。根鉢の2倍の深さと直径2.5倍の植え穴を掘り上げます。根鉢を崩さないように、注意して植え付けます。土と根をなじませて定植したら、植え付け直後にタップリと水を施します。(株間20~25cm)
- 植え替え
- 寒さに弱く、冬には枯れる一年草扱いなので基本的には必要ありません。室内やフレーム内で冬越しが出来た場合は、下記を参照してください。
- コンテナの場合、根詰まりを防ぎ通気をよくするために、1~2年に1回を目安に行いましょう。根鉢をあまり崩さないように、新しい用土と元肥を入れた1回り大きな鉢に植え替えます。その後2週間は、日蔭に置いて管理した後に日当たりのよい場所へ移しましょう。
- 地植えの場合、暖地以外では冬越し出来ないので冬には枯れてしまいます。
- 挿し芽
- 適期は、6月~8月です。11月以降に挿した場合は、ポット苗にして室内に置いて冬越しさせます。
- 花の咲いていない枝先を、先端から10cm程で切り取り挿し穂にします。下の葉を取り除いてから挿します。明るい日陰に置いて、水を切らさないように管理します。10日~2週間で発根します。(サイト内 詳細ページ)
- 水挿しでも発根します。切り取った挿し穂を水に浸けておくだけです。水が濁ってきたら交換して、水温は上がり過ぎないように管理すると10日~2週間で発根します。なるべく早く、用土入りポットに植え付けましょう。
花が咲くと葉の色が褪せる
- 水やり
- 水切れにとても弱いので注意が必要です。真夏や乾燥が続く時期は、水が切れるとスグに萎れてしまうので要注意です。
- 鉢植えの場合、土の表面が乾いたタップリと水を施します。
- 地植えの場合、基本的に降雨のみで大丈夫です。
- 手入れ
- 冬越し・植え替え→本来は多年草なので、温度さえ合えば冬越しは可能です。11月になって霜が降りる前に、室内かフレームなどに取り込み10℃以下にならない場所で、冬越しができた場合は植え替えましょう。3月下旬~4月中旬頃暖かくなったら、まず屋外に置いて日に当てましょう。その後5月に植え替えます。挿し芽の項目にも記載しましたが、11月~12月に挿し芽をして新苗を作り、ポット苗を室内で冬越しをさせる方法もあります。
- 置き場所→春から秋は屋外に置きましょう。東向き、または南向きの日当たりと風通しのよい場所に置きます。
- 支柱たて→枝は比較的柔らかく、折れやすいので樹高が高くなると強風などで折れることがあります。支柱を設置して、紐で固定してやりましょう。台風などの際には屋内に取り込みましょう。
- 摘芯→葉を観賞するので、葉の数が多くてバランスよく付いている方が見映えがよいです。
- 草丈が伸びて、本葉が10枚程になった頃に茎頂部の芽を摘み取ります。新しく脇芽が出てボリューム感のある株姿になります。これを何度か繰り返していくと、バランスのとれた株に育ちます。
- 花がら摘み→初夏になると、シソの穂に似た茎が伸びて青紫色の花を咲かせます。地味で観賞価値は低いので、葉を観賞するのを主目的にして、花茎を切り取りましょう。放置すると栄養分を消費して、葉に栄養が回らなくなります。
- 害虫→ヨトウムシ、ナメクジ、ハダニ
- 日当たり
- 日当たりと風通しのよい場所を好みます。
- 夏の暑さにも強いのですが、西日や真夏日の直射日光が一日中当たる場所は、葉焼けを起こして部分的に枯れることもあります。鉢を移動するか、遮光用ネットや寒冷紗を張って対策をしましょう。