テイカカズラ 季節の花-歌人藤原定家に縁のある植物-イパネマおやじ
テイカカズラは、花期の5月頃になると、白色で巴形をした花径2cm程の花を咲かせます。常緑性ですが、季節の変化に応じて楽しめる植物です。夏になると、甘い芳香のある花を咲かせます。開花の初期は白色から、咲き進むと徐々にクリーム色へ変化します。そして、秋になると紅葉して葉色の変化を楽しめます。
上へ上へと這い上がる習性がある
- 分類:キョウチクトウ科テイカカズラ属 / 原産地:日本、朝鮮半島
- 別名:チョウジカズラ、マサキノカズラ(漢字表記:定家葛)
- 学名:Trachelospermum asiaticum
- 園芸分類:常緑つる性低木 / 耐寒性(強い)、耐暑性(強い)
- 草丈・樹高:1~10m
- 苗の植え付け:4月~7月中旬、9月
- 植え替え:4月~7月中旬、9月
- 挿し木:6月上旬~8月上旬
- 開花期:5月中旬~6月中旬
- 栽培方法:地植え、コンテナ(鉢植え、盆栽)
- 注:記載している各適期は温暖地(中間地)での目安です。タネまきや苗植えの適期を表示していますが、大まかな目安です。最近の気候変動により、地方別(関東地方、東北地方など)の適時期表示は難しくなっています。栽培地別の気候は、気象庁のページなどを参考にしてください。
- ※ 適期は発芽適温、生育適温などの数値を基準に判断してください。
- 特徴
- テイカカズラは、日本、東南アジアに分布する常緑つる性低木の植物です。茎から付着根を出して、他の植物や壁面などに根を食い込ませて、よじ登る性質があります。支柱に絡ませて、上へ伸長するので葉の大きなつる性の植物として誘引すると”緑のカーテン”などとして栽培するのも楽しいですネ。
- テイカカズラの名前は、謡曲の「定家」に由来しています。平安時代後期から鎌倉時代に実在した歌人の藤原定家の悲恋伝説に由来しています。藤原定家は後白河法皇の娘である式子内親王に恋をしましたが、身分違いのため叶いませんでした。亡くなった後もその想いは続き、内親王の墓に葛となって絡みついたという伝説から、この和名が付けられたそうです。
- 注:株を傷つけると、毒性のある樹液が出ます。肌に触れると被れることがあるので注意しましょう。
- 近縁種 キョウチクトウ科テイカズラ属
- ハツユキカズラ (Trachelospermum asiaticum cv. Hatsuyuki)→和名の由来は、葉に白い斑が入ることから。常緑つる性植物で、関東地方では垣根として広く利用されている。
湿度の高い環境を好む
- いい苗の選び方
- 園芸店などで売られている苗は、運搬や移動などで体力が落ちています。購入してきたら2~3日の間、日当たりの良い場所に置き光合成をさせて元気を回復させましょう。購入したテイカカズラの苗は、葉が密に茂っているものが多く、葉色は光沢がありきれいな緑色の苗を選びましょう。
- 用土 水はけ水もちのよい土壌を好む
- コンテナの場合、市販の草花用培用土に赤玉土(小粒)を2~3割程混ぜ込んだ土、または赤玉土(小粒)6:腐葉土2:バーミキュライト2:の割合で混ぜ込んだ土を使います。
- 地植えの場合、植え付けの1週間程前に、深さ30cm以上に土を耕して、掘り起こした土に土壌改良用の腐葉土や有機質堆肥などをを混ぜ込んでおきます。
- 肥料
- あまり肥料を必要としません。順調に生育しているなら施肥は不要です。但し、生育状態が悪い場合は、液体肥料を施します。生育の状態を観察しながら、不足している場合は、9月上旬に緩効性化成肥料を置肥します。(コンテナ、地植え共に)
- 植え付け
- 適期は、4月~7月中旬、9月です。
- テイカズラは丈夫な植物ですが、根が粗く水分が蒸発しやすいです。根鉢の根を傷めないように抜き取り、古い土を軽く落とす程度で手早く植え付けます。
- コンテナの場合、鉢底石を敷き、「用土」と「肥料」の項目で準備しておいた土をコンテナに入れます。根鉢の根を傷めないように根鉢を崩さないで、軽く古い土を落とす程度で、素早く植え付けます。根を土になじませて定植したら、植え付け直後にタップリの水を施します。(
- 地植えの場合、「用土」と「肥料」の項目で準備しておいた土壌に植え付けます。根鉢の2倍の深さと直径2.5倍の植え穴を掘り上げます。根鉢の根を傷めないように根鉢を崩さないで、軽く古い土を落とす程度で、素早く植え付けます。土と根をなじませて定植したら、植え付け直後にタップリと水を施します。
- 植え替え
- 適期は、4月~7月中旬、9月です。
- コンテナの場合、生長が早いのでコンテナがすぐに根詰まりを起こします。根詰まりを防ぎ通気をよくするために、1年に1回を目安に行いましょう。作業の前につるを短めに切っておきます。根鉢を1/3程軽く崩して古い根を切り取り、新しい用土と元肥を入れた1回り大きな鉢に植え替えます。
- 地植えの場合、基本は必要ありません。
- 挿し木
- 適期は、6月上旬~8月上旬です。
- 新枝の先端を10~15cmの長さで切り取り、挿し穂にします。挿し床の用土は、清潔で栄養分の少ないものが適しています。市販の挿し木用土、または鹿沼土、パーライト、ピートモス、バーミキュライトなど保水性のよいものを使いましょう。挿し穂は、1時間ほど水に浸して水揚げしておきます。挿し床の用土は、事前に水をかけて湿らせておきます。(手順詳細 コチラ)
半日陰で水はけのよい場所を好む
- 水やり
- 乾燥が苦手な植物です。水切れすると枯れやすいので要注意です。水というよりも、空気中の湿度が高い環境を好み、乾燥が続くと葉がポロポロと落ちてしまいます。
- コンテナの場合、土の表面が乾いて白っぽくなったら、株の根元の土に、鉢底から水が流れ出るくらいタップリと施します。同時に、葉にも水を掛けて乾燥を防ぎましょう。(冬期は生育が低調になるので、少し控えめにします)
- 地植えの場合、降雨のみで基本的には必要ありません。乾燥した日が続く、真夏の高温期や日照りが続いた場合は施しましょう。
- 手入れ
- 剪定→適期は、花後です。夏になると芽吹いて花芽ができるので、剪定は開花の後に行いましょう。秋以降に強剪定すると、花芽を切り取ることになり翌年に花が咲かなくなります。樹形を整える程度の剪定は、12月~2月に軽めに行います。緑のカーテンとして利用する場合、太いつる枝を2~3本残して、他のつるは元から切り取りましょう。屋根のひさし程の高さで剪定します。
- 防寒対策→地植えの場合、関東以南の平地であれば屋外での冬越しは可能ですが、凍結や霜の当たる場所では、株元にマルチングするなどの防寒対策が必要です。
- 置き場所→本来は、岩肌や他の植物に絡みついて自生していた植物なので、日当たりがよい場所よりも、半日陰や午前中だけ日に当たる場所の方が適しています。
- 病気→特になし
- 害虫→アブラムシ、カイガラムシ
- 日当たり
- 日当たりの良すぎる場所より、半日陰や午前中だけ日の当たる場所を好みます。