肥料の種類と使い方-1 肥料の成分や効果について-イパネマおやじ
肥料に関するページは複数ありますが、ここでは有機質肥料に関するものを集めました。植物や動物などの天然資材を、原料にしたもので微生物の働きで有機物が分解発酵してから植物の根から吸収されます。
有機質肥料はどんな種類があるのか
肥料に関する記事には何度も出てくるのが、3大要素とは・・?というテーマがあります。数ある肥料成分の中でも、大切なのはチッ素・リン酸・カリの3種類です。
植物が最も必要とするのはチッ素→植物の基本的な生育に必要
- 葉茎や根などを生育させる
- 養分の吸収を促進する
- 同化作用を促進する
植物のベースの生長に必要なのはリン酸→不足すると着花数が減り、開花や結実が遅れる
- 葉茎や根の伸長を助ける
- 開花や結実を促進する
植物の株内の生理作用を調整するのはカリ→植物を強く育てるのに必要
- 暑さや寒さなどの環境に対する抵抗力を高める
- 病害虫に対する抵抗力を高める
- 株が軟弱になり倒れるのを防ぐ
たくさんある中でもよく使われる有機肥料
- 油カス
- 植物の種から油を搾ったあとに残るかすのことです。いろんな材料のものがありますが、ナタネやダイズの油かすが、一般的です。粒状の遅効性肥料で、チッ素分が多いのでチッ素肥料として扱われ、骨粉とあわせて使うのが一般的です。
図解:油かすと骨粉を等分で器に入れる → 水を加えてよく混ぜ合わせる → 乾燥させて置き肥として使う
- 発酵油かす
- 油かすをあらかじめ発酵させた肥料です。油かすに骨粉や魚かす、米ぬか等を混ぜて、3要素をほぼ等量にしたものが一般的です。発酵済みで植物に吸収されやすい状態なので、化成肥料と同様に速効性です。元肥にも追肥にも使えますが、施しすぎには注意しましょう。発酵油かすの中には、発酵菌を加えただけで未発酵のものや完熟していないものもあるので、信頼できるメーカーの製品を選んで購入しましょう。
- 骨粉
- 動物(牛など)の骨を蒸してから粉砕したものです。リン酸分を多く含んでいるので、リン酸肥料として扱われています。骨粉単独で使われことは少なく、通常は油かすなど他の肥料と混ぜて使われます。最近は粉砕したものを粒状や粉状に成形したものも出ています。
その他の有機質肥料
- 乾燥鶏ふん→ニワトリのふんを加熱・乾燥させたものです。
- 家畜などのふんは飼育方法によって含まれる成分が違うので、特殊肥料として扱われています。乾燥鶏ふんは、油かすに比べてチッ素分は少ないのですが、リン酸やカリ分が多く、比較的バランスのよい肥料です。特にトマトやナスなどの果菜類の栽培に適しています。
- 未発酵のため水分を含むと独特の臭気を出し、発酵熱とガスが発生して根をいためるので、根に直接触れない場所に施します。
- その他の動物ふん
- 有機質肥料の中には、ユニークなものもあります。最近良く出ているのがコウモリやミミズのふんを加工した製品で、どちらも主要成分はリン酸で、チッ素やカリ、微量要素も含んでいます。
- 魚かす
- 魚を乾燥して粉砕したものです。チッ素分とリン酸を多く含みますが、カリ分は含まれていないので草木炭などと混ぜて使うと良いでしょう。古くからある肥料ですが、臭いがきついこともあり、最近は家庭ではあまり使われなくなりました。
- 草木炭
- 草木を低温で焼いた炭です。有機質のカリ肥料で、腐葉土と違い有機物が燃えてなくなった状態なので、残ったカリ分の割合が高くなっています。アルカリ性なので、多量に施すと土の酸度が変わることもあります。
- 石灰質肥料
- 貝殻などを乾燥、粉砕した有機石灰、石灰岩を高温で焼いて加工した消石灰や苦土石灰などの種類があります。肥料成分として根を育て、植物体を丈夫にするカルシウムが含まれているので特に施す必要はありませんが、コンテナ栽培では不足して生育不良になることもあります。
- 苦土石灰はマグネシウムを含み、リン酸の吸収を助ける作用をします。単独での使用法は、主に土壌酸度(pH)の調整に使われます。日本の土壌は酸性気味のうえ、多量の降雨により石灰質が流され、さらに酸性雨の影響で、酸性土になりがちです。
- 土質改良で施す料の目安は、土1リットルに対して、苦土石灰では1~1.5g、消石灰では0.8~1.2gです。施し過ぎてアルカリ性になると問題があるので、最初は半分くらいの量で様子を見ながら、調整追加をしましょう。
有機質肥料と有機配合肥料のちがいは?
- 数種類の肥料を混合して、お互いの欠点を補いあって長所を生かしたものを配合肥料といいます。多くは遅効性で、微量要素を含む有機肥料を数種類組み合わせています。また、即効性の無機質肥料を含むものもあります。
- 代表的なのが、油かすと骨粉をベースにしたもので、草花用、花木用、野菜用など各種の製品が出ています。遅効性なので、植え付け前の元肥に適していますが、追肥にも使えるため広く利用されています。
- 肥料の種類と使い方シリーズ(ページリンク) 肥料の種類と使い方ー1|肥料の種類と使い方ー2
- 最近は、化成肥料にも「有機入り」と表示したものがありますが、チッ素分の一部に有機質肥料を使っているもので、普通の化成肥料のように追肥などに使います。また「指定配合肥料」という保証表をつけた製品は肥料登録を取得した化成肥料などを混合したものです。