接ぎ木で増やす 接ぎ木上手になるための方法-イパネマおやじ
接ぎ木とは、増やしたい植物の枝や芽など、植物体の一部を切りとり、同種類の生育中の植物体に接合し、両者の組織を癒合させることで新たに植物体を作る栄養繁殖の方法の一つです。
接ぎ木で増やす
接ぎ木(つぎ木)→接ぐ部分を接ぎ穂または、穂木といい、根がついた接がれる方を台木と呼びます。
接ぎ木の特徴
- 大量に増やすには向きませんが、接ぎ木の優れている利点を紹介します。
- 接いだ植物の性質がそのまま現れます。
- 株分けや挿し木が、困難な植物でも、増やすことが可能です。
- 実生苗や挿し木苗より、開花までの期間を短縮できます。
- 台木の性質を利用して、樹勢の強弱の調整や土壌伝染性を持たせることが出来ます。
切り接ぎ
果樹、花木の代表的な方法、苗木作りに用いられる。柑橘類は4~5月、カキとブドウは3~4月、モモとウメは3月が適期
割り接ぎ
トマト、ナスなどの野菜やマツ、ツバキなどの樹木で行われる。野菜では、25~30℃の高温多湿期、数日間の遮光をして活着を促す
腹接ぎ
果樹、花木の成木の枝や幹の途中に切り接ぎをする。柑橘類は4~5月、ブドウは8~9月、クリは9~10月が適期
合わせ接ぎ
トマトなどの野菜やバラなどで台木と接ぎ穂の太さが同じもので行う
挿し接ぎ
キュウリ、スイカなどで行われる。接ぎ穂は子葉の真下で切り、先端をカミソリで尖らせ、水平に切り穴を開けた台木に挿す
呼び接ぎ
他の接ぎ木の方法と異なり、穂木(挿し穂)にする部分を母樹から切り離さない根のある状態のまま、そして根の部分になる穂台(台木)の、それぞれ茎の一部を削りその削傷部を密着させ癒合させる方法です。活着したら穂木は接ぎ木部分の下で、穂台は上の部分で切り一つの個体に養成します。
T字(盾)芽接ぎ
ナイフなどで2~3cm木質部を切り取り、接ぎ芽をつくる。台木の平らな部分にT字形の形成層に達する切り込みを入れて樹皮を開く。接ぎ芽を挿して形成層を合わせ、テープを巻く。約1週間後には、接ぎ芽に触れた時に葉柄が脱落するかしないかで活着の成否が分かる。
そぎ芽接ぎ
芽の少し上からナイフを入れ、木質部にかかる程度に切り下げる。次に芽の下から木質部に向かって切り込む。台木は接ぎ芽と同様に木質部にかかるように舌状に樹皮をそぎ樹皮を中間で切る。ここに接ぎ芽を挿して形成層を合わせる。この後は、T字芽接ぎと同じ工程。
根接ぎ(根を台木にして枝を接ぐ)
根のついた苗木を成木の根元に接ぐ。盆栽などで、根の張り方が悪いとき(四方に根が出ていない)に行う。老木などの樹勢を回復させるために行う。老木などの樹勢を回復させるために行う場合は若木の根つきの幹を老木の基幹部に接ぐ。
接ぎ木の親和性
接ぎ穂と台木が、順調に癒合して正常に生育を続けることを親和性があるといいます。一般的に親和性は分類学上、近縁なものほど高くなります。
接ぎ木上手になるために→接ぎ木は難しい技術ではなく、練習が必要な技術です。そこで、練習のポイントを挙げてみました。
- 接ぎ穂の切り口と台木の切り口が、ピッタリ合う大きさに切ります。
- 接ぎ穂と台木の切り口の形成層の接合面積が、出来るだけ大きくなるように合わせます。
- 接ぎ穂と台木の接合面が、ずれにようにテープを巻いていきます。
- 作業中は切り口が乾かないように、、接ぎ穂は水に浸けておきましょう。活着のよくない苗が出ることもあるので、余裕をもって少し多く接ぎ木しておきましょう。
活着率を高めるコツ
- 接ぎ木を成功させるには、ポイントがあります。
- 接ぎ穂、台木にする植物は、細い枝や徒長枝を避けて健康で芽が大きく、枝も太くて元気なものを選びます。
- 接ぎ木の後、露出している切り口を、つぎロウや癒合剤などで覆って、腐るのを防止します。
- 春の切り接ぎに使うために、接ぎ穂に使う枝を冬に切り採り、ビニール袋に入れて冷蔵して、休眠状態にして保存しておきます。
- 気温が15~25℃の時期になったら接ぎ木の作業を行いましょう。
- 気温が低い場合は、保温や加温が出来るビニールトンネル、ビニールハウス、、ガラス室などで管理します。栽培中に、台木から芽が出て(台芽)養分を吸いとり、接ぎ穂の生育を衰えさせるので、これをかき取ります。