ナシ ハーブ-日本で最も古くから栽培された果樹-イパネマおやじ
- ナシ (Japanese pear) は、身近な果物としてお馴染みですね。バラ科の落葉中木で、樹高は250~350cm程になります。4月頃に白色の5弁花を咲かせ、果実は直径10cm程の球体です。ニホンナシは茶色で、セイヨウナシは果頂部が大きくふくらんで果皮の色は、茶色を帯びた黄緑色になります。有名な品種では、「ラ・フランス」という名前は一度は聞かれたことがあると思います。
- このページでは「ニホンナシの育て方」を基本に案内していきます。
日本で最も古くから栽培されている果樹
- 分類:バラ科ナシ属 / 原産地:日本、朝鮮半島、中国長江沿岸
- 別名:アリノミ、和梨(ナシ・漢字表記:梨)
- 学名:Pyrus pyrifolia (ニホンナシ)
- 英名:Japanese pear, Nashi pear, pear
- 園芸分類:落葉高木 / 耐寒性
- 草丈:3~3.5m
- 開花期:4月
- 栽培方法:地植え、鉢植え
- 特徴
- ナシは、病害虫の防除作業の手間がかかり、育てるのは大変な植物です。決して育てるのは簡単とは、言えませんが収穫したときの達成感は大きなものです。家庭園芸の達人ならば、一回は挑戦してみたい果樹ですね。
- 棚仕立てにするのが一般的ですが、生垣や壁面、アーチなどに仕立てても観賞用に長く楽しめます。ニホンナシ、チュウゴクナシ、セイヨウナシ、いずれの系統も自家不結実性なので、受粉樹が必要です。受粉しやすい2品種以上を選んで混植し、花が咲いたら人口受粉してやると確実に結実して、収穫ができるようになります。(自然にまかせ虫を介しての受粉を待ってもよいが、確実なのは人口受粉です)
- 近縁種
- チュウゴクナシ(Pyrus ussuriensis)→一見すると外見は、セイヨウナシのようだが食感は和梨のようにシャリッとして、とても風味がよい。国内での栽培量は少ないが、味と風味の良さから高級品として贈答用にも使われる程人気がある。他の2系統と比べると開花時期が早い。
- セイヨウナシ(Pyrus communis)→バラ科ナシ属の落葉小高木。樹高は5~10mになり、風味や味のよさで愛好されている。冷涼で雨の少ない東北地方以北での栽培が適しています。セイヨウナシは、和梨のように樹上では完熟しないので収穫後の追熟処理が必要です。
- 園芸品種
- 幸水→量産性。甘みが強く果汁が多い。みずみずしく食感もよいので国内生産量の1/3を占めています。自家結実性は弱い。収穫時期は8月上旬~9月下旬。
- 豊水→糖度が高く果汁が多い。350g程の特大サイズに育ち、高級品種として扱われている。樹上で完熟させると味わいも格別というナシ。自家結実性は弱い。収穫時期は9月中旬~下旬。
- ル・レクチェル→豊産性。フランス原産、甘みが強く香りがよい。他のセイヨウナシと比べると外皮にサビが無く美しい果実です。自家結実性は弱い。収穫時期は10月中旬~下旬。
- バートレット→豊産性。セイヨウナシで、黄緑色の果皮はゴツゴツしている。果肉は、甘みがあり果汁も多い。収穫時期は9月上旬~中旬。
日本ナシ・中国ナシ・西洋ナシの3種類がある
- 適応・(ハーブ、漢方としての適用)
- タンニン、アルプチン(葉を乾燥させたものを利用→風邪の咳、扁桃腺、口中の腫れ物)
- 料理・飲み物で楽しむ
- 生食フルーツ、ジュース、スイーツの材料、果実酒
- 用土
- 水はけのよい肥沃な土壌を好みます。他にはあまりこだわりません。
- 鉢植えの場合、赤玉土(小粒)5:腐葉土4:川砂1の割合で混ぜ込んだ土を使います。
- 地植えの場合、掘り上げた土に腐葉土2~3割と赤玉土を1割くらい混ぜ込んで、植え穴に戻します。
- 肥料
- 鉢植えの場合、植えつけの際に用土の中に元肥として緩効性の化成肥料を混ぜ込んでおきます。定植後の施肥は、2月、5月、10月に有機質肥料または速効性化成肥料を施します。
- 地植えの場合、植えつける前に元肥として有機質肥料とチッ素・カリウム・リン酸の三大要素の他にミネラル分を補充するために堆肥を混ぜ込んでおきます。定植後の施肥は、2月、5月、10月に有機質肥料または速効性化成肥料を施します。
- 植え付け
- 適期は、11月~3月です。苗木を選ぶ際は、継ぎ目が目立たず芽の間隔が狭い細根のものを選びましょう。(接ぎ目がコブ状のものは避ける)
- 「用土」と「肥料」の項目で準備した土壌に植えつけていきます。
- 鉢植えの場合、8号鉢以上に植えつけます。植えつけ直後にタップリの水を施したら、地表から30~40cm位の高さで苗木を切り戻します。支柱を立てて紐で苗木を固定します。
- 地植えの場合、植え穴は根鉢の3倍の大きさを掘り上げ、堆肥を底に敷いて、掘り上げた土に元肥を混ぜ込んだら、元の植え穴に戻します。植えつけ直後に、地表から50cm位の高さで苗木を切り戻します。タップリと水を施したら支柱を立てて、紐で苗木を誘引します。
植えつけは初春まで可能
- 植え替え
- 適期は、11月~3月です。
- 鉢植えの場合、根詰まりを防ぎ通気をよくするために、3~4年に1回を目安に行いましょう。根鉢を軽く崩して古い根を切り取り、新しい用土を入れた一回り大きな鉢に植え替えます。
- 地植えの場合、基本は必要ありません。
- 接ぎ木
- 適期は、3月中旬~4月上旬に休眠接ぎ。8月下旬~9月上旬が芽接ぎの適期です。(参考:当サイト→トップページ/ハーブ植物の栽培上手/接ぎ木で増やす)
家庭園芸の達人を自負する人にお奨め
- 水やり
- 鉢植えの場合、土の表面が乾いた、鉢底から少し流れ出るくらいタップリと水を施します。
- 手入れ
- 冬の剪定→適期は、落葉後の12月~2月下旬です。1~3年目は果樹の樹形を決める形成期です。この時期に、新梢の誘引をして樹形を作っていきます。前年枝や10cm以下の短い枝を残して、混みあった枝や内側に伸びすぎた枝の基部を約1cm残して切り取ります。
- 夏の剪定→適期は、6~8月です。花芽分化期なので、速すぎると徒長枝になり、遅すぎると花芽の分化を妨げるので毎年の作業をする参考のためにメモしておきましょう。ナシは新梢がよく伸びるので、放置すると広がりすぎます。新梢は20cm~30cmで切り取ります。
- 人口受粉→適期は、自然にまかせミツバチなどの受粉を待つ方法もありますが、人口受粉が確実に結実します。鉢植えの場合は、花数が少ないので人口受粉してやりましょう。
- 摘果→適期は、5月です。花芽に複数結実した果実を摘み取ります。摘み取るのは、葉がない花芽、遅れ花による花芽、下向きに生える花芽が対象です。
- 袋かけ→適期は、品種により異なりますが、収穫期の2ヶ月前です。因みに、幸水だと6月上旬~7月上旬。豊水が6月上旬~7月下旬。農薬散布の手間が省けて、病害虫の防除に効果的です。
- 病気→黒星病、赤星病、黒斑病、輪紋病
- 害虫→アブラムシ、シンクイムシ、カイガラムシ、カメムシ
※ ハーブの栽培手入れ→トップページ「ハーブ植物の栽培上手」をクリックしてください。
- 収穫
- 収穫期は、8月~10月です。品種や栽培地域により差はありますが、果皮が色づいてきたら間近です。ニホンナシは、果実を持ちソッと上へ持ち上げたときに自然にもぎ取れる時。セイヨウナシの場合は、満開日からの日数を目安にして収穫します。
- 日当たり
- 日当たりのよい場所を好みます。