アナガリス 季節の花-秋に種まきして翌春に花を楽しむ-イパネマおやじ
アナガリス (Anagallis) は、暖かくなり始める3月頃になると、地面を這うように広がりながら分枝しながら、花柄を伸ばして、鮮やかな瑠璃色の花を咲かせる草花です。他にも橙紅色の花を咲かせる品種もあります。ヨーロッパ、北アフリカ原産の一年草あるいは多年草で、世界中の温帯地域で自生しています。
夏の高温多湿が苦手
- 分類:サクラソウ科ルリハコベ(アナガリス)属 / 原産地:ヨーロッパ南部~中央部
- 和名:ルリハコベ
- 学名:Anagallis
- 園芸分類:一年草 (原産地では多年草)、多年草 / 耐寒性(やや強い -5℃以上)、耐暑性(弱い)
- 草丈・樹高:20~30cm
- タネまき:9月中旬~10月
- 苗の植え付け:10月~11月(育苗後)、3月中旬~4月中旬(市販の苗が流通する)
- 植え替え:3月中旬~4月中旬
- 株分け:3月中旬~4月中旬
- 開花期:4月~5月、9月~10月(夏越しができた株)
- 栽培方法:地植え、コンテナ(鉢植え、プランター)
- 注:記載している各適期は温暖地(中間地)での目安です。タネまきや苗植えの適期を表示していますが、大まかな目安です。
- 特徴
- アナガリスの仲間は、スペイン、ポルトガル原産で、世界の温帯、亜熱帯に約24種が分布するサクラソウ科ルリハコベ属の一年草または多年草です。本来はヨーロッパ原産ですが、現在では世界中の温帯地域に帰化しています。国内には、和名がルリハコベと呼ばれるアナガリス・フォエミア(Anagallis foemina )が、紀伊半島、四国、九州、伊豆七島、琉球諸島などに自生しています。やはり原産はヨーロッパですが、渡来した時代は分かっていませんが古い時代に持ち込まれて、帰化したものと考えられています。
- 高温多湿に弱く、温暖地では多年草でも夏越しが難しく、枯れることが多いので、秋に種まきして翌春に花を楽しむ秋まき一年草として扱うのが一般的です。多くの品種の中から、最も栽培されているのはアナガリス・モネリー(A. monelli)です。園芸上は、アナガリスと呼ばれるのは当種を指しています。悪天候が近づくと花が閉じることから「貧乏人の風雨時計」と呼ばれていたようです。
- 近縁種 サクラソウ科ルリハコベ属
- アナガリス・フォエミナ(Anagallis foemina (=Anagallis. a. foemina A. arvensisの亜種))→和名は、ルリハコベ。ヨーロッパ南部~中央部の原産で一年草。古くから、国内の紀伊半島、四国、九州、伊豆七島、琉球諸島などに帰化して自生しています。草丈は10~30cmで、分枝をしながら地面を匍匐して、やがて斜上します。葉腋から花柄を伸ばして花径1~2cmのルリ色の小花を咲かせる。開花期は、3月~5月。
- アナガリス・アルベンシス(A. arvensis L. f.arvensis)→和名は、アカバナルリハコベ。原産地は、ヨーロッパ、北アフリカ~西アジアの一年草。ルリハコベと同じく帰化植物で、暖地の沿岸地帯にある露地や野原などで自生している。草丈は10~30cmで、葉腋から細い花柄を伸ばして花径1cm程の橙紅色の5弁花を咲かせる。開花期は3月~5月。
- アナガリス・モネリー(A. monelli)→原産地は、ヨーロッパ南部~北アフリカの多年草。数あるアナガリスの園芸品種の中で、最も広く栽培されている品種。草丈30~50cmで、分枝をしながら地面を這うように伸びて、やがて斜上します。花径2cm程の青紫色の小花を咲かせる。開花期は、5月~6月。
ルリハコベ(Anagallis foemina)
やや乾燥気味の土壌を好む
- 用土
- コンテナ・鉢植えの場合、市販の草花用培用土または赤玉土(小粒)7:腐葉土3:の割合で混ぜ込んだ土を使います。(用土に市販の培用土を使う場合、あらかじめ元肥が混ぜ込んである場合があるので、確認してから元肥の調整をします)
- 地植えの場合、植え付けの1週間程前に、深さ30cm以上に土を耕して、掘り起こした土に土壌改良用の腐葉土や完熟発酵させた牛ふん堆肥などの完熟堆肥(1㎡当たり2~3kg)を混ぜ込んでおきます。(更に水はけの悪い土壌は、川砂などを1~2割混ぜ込む)
- 肥料 ほとんど必要ない
- コンテナ・鉢植えの場合、植え付けの際に用土の中に元肥として少量の(1リットル当たり3g)緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。(用土に、市販の草花用培養土を使う場合、あらかじめ元肥が混ぜ込んである場合があるので、確認してから元肥の調整をしましょう)鉢底石を敷いて、苗を定植後の追肥は、暖かくなる4月頃~開花中、月に2~3回希釈した液肥を施します。
- 地植えの場合、植え付ける1週間前に元肥として緩効性化成肥料(1㎡当たり60g)を混ぜ込んでおきます。定植後の追肥は、基本的に必要ありません。
アカバナルリハコベ(Anagallis arvensis )
- タネまき 発芽適温は15~20℃(寒冷地は3月~4月にまく)
- 適期は、9月中旬~10月です。箱まきかポリポットまきします。
- ポリポットまきする場合、3号ポットに市販の種まき用土か赤玉土(小粒)などで播き床を作り、バラまきをしたら薄く隠れる程度の覆土(2mm)をします。弱い苗を間引きながら、本葉が2~3枚になって茎がしっかりしたら、根鉢を抜き出して用土の付着したまま苗を分けて、1本を2~2.5号ポットへ鉢上げします。丈夫な苗を1本植えたら、本葉が5~7枚になるまで育苗してから花壇かコンテナへ定植します。
- 箱まきする場合、セルトレイなどに市販の種まき用土か赤玉土(小粒)などで播き床を作り、バラまきをしたら薄く隠れる程度の覆土(2mm)をします。タネが薄く隠れる程度に覆土します。本葉が2~3枚になったらポリポットに鉢上げ(植え替え)します。更に、ポリポットに根が回ったら、1本立ちにして一回り大きなポリポットへ鉢替えします。本葉が5~7枚になって茎がしっかりしたら、花壇やコンテナに定植します。(移植の際に根を傷めると、その後の根付きがよくないので、ある程度根が張ったら早めに定植する)
- 植え付け
- 適期は、育苗後の10月~11月です。タネまきから育てる場合、寒さには比較的強いので、秋まきして苗が育ったらスグに植え付けてもよいです。春先に流通する苗を購入した場合は、3月中旬~4月中旬が適期です。
- 但し、タネまきしてから苗が育つ前に、冬を迎えた場合はポット苗のままフレームなどの保温設備の中や、霜に当たらない軒下などで、暖かくなる春まで育ててから花壇へ定植しましょう。(真冬頃に苗が大きく育ってスグに植え付けると、生育が止まり開花時期が梅雨頃になり、美しい花が咲かない)
- コンテナ・鉢植えの場合、鉢底石を敷き、「用土」と「肥料」の項目で準備しておいた先程の土をコンテナに入れます。根鉢の根を傷めないように植え付けます。根を土になじませて定植したら、植え付け直後にタップリの水を施します。(株間20cm程、60cmプランターで3株が目安)
- 地植えの場合、「用土」と「肥料」の項目で準備しておいた先程の土壌に植え付けます。根鉢の2倍の深さと直径2.5倍の植え穴を掘り上げます。土と根をなじませて定植したら、植え付け直後にタップリと水を施します。株間は25cm程で植え付けます。
- 植え替え
- 適期は、3月中旬~4月中旬です。一般的には一年草扱いなので植え替えの必要はありません。しかし、本来は多年草の品種は、暑さに適応できれば夏越しは可能です。鉢植えで、屋内やフレーム内などで夏越しできた場合は「夏越し・切り戻し」の項目を参照してください。梅雨の時期は雨の当たらない軒下などへ移動して、風通しがよく涼しい場所で管理すると夏越しできる可能性があります。
- 株分け
- 適期は、3月中旬~4月中旬です。1~2年に1回は堀り上げて株分けしましょう。植え替えの際、同時に作業しましょう。鉢植えの場合、「用土」と「肥料」の項目と同じ内容で、1~2回り大きなコンテナに植え替えます。
秋まきで翌春に開花して夏越しできた株は秋にも開花
- 水やり
- コンテナ・鉢植えの場合、土の表面が乾いて白っぽくなったらタップリと水を施します。
- 地植えの場合、降雨のみで基本的には必要ありません。
- 手入れ
- 夏越し・切り戻し→多年草の品種の場合、花が一段落した頃に伸びすぎたり傷んだ枝を切り戻します。思い切って草丈の1/2の高さに切り戻します。夏を上手に越せれば、秋には再び花を咲かせます。
- 冬越し→夏越しが上手に出来た多年草品種は、それなりの耐寒性があります(-5℃)、しかし霜の降りる場所では霜除け対策を施しておきましょう。冬を越した株は、春になると株分けができます。
- 害虫→アブラムシ
- 日当たり
- 日当たりと水はけのよい場所を好みます。