ストロベリーキャンドル 季節の花-秋にタネまきして翌春に開花-イパネマおやじ
ストロベリーキャンドル (crimson clover) は、春になると、伸ばした茎先に丸みのある細長い真っ赤な花を咲かせます。ヨーロッパが原産地の多年草ですが、日本の夏の暑さに弱く枯れてしまうので、一年草として扱われています。クローバーの仲間で、生育中の株を丸ごとすき込んで肥料にする、緑肥植物でもあります。当種は花の美しさから、観賞用として栽培されることが多いようです。
根には根粒菌が共生している
- 分類:マメ科シャジクソウ属 / 原産地:ヨーロッパ
- 別名:ベニバナツメグサ(漢字表記:紅花詰草)、クリムソンクローバー
- 学名:Trifolium incarnatum
- 園芸分類:一年草 / 耐寒性(強い)、耐暑性(弱い)
- 草丈・樹高:30~50cm
- タネまき:9月中旬~10月
- 苗の植え付け:11月~12月(タネまきで育苗後)2月下旬~3月(市販の苗が流通する)
- 開花期:4月下旬~6月
- 栽培方法:地植え、コンテナ(鉢植え、プランター)
- 注:記載している各適期は温暖地(中間地)での目安です。
- 特徴
- ストロベリーキャンドルは、ヨーロッパから西アジアに分布するマメ科シジャクソウ属の多年草です。クローバーの仲間で、冬は葉を低く広げるようにして、寒さに耐える耐寒性があります。春になると茎を伸ばして先端に、細長い真っ赤な花を咲かせます。原産地では、毎年花を咲かせる多年草ですが、日本の暑さに弱く夏には枯れてしまうので、秋まきの一年草として扱われています。
- ある程度の冷たい温度に当たらないと花芽を作らないので、温暖地では春まきすると花が咲きません。発芽適温は20~25℃です。寒冷地では、夏にタネまきすると翌年の初夏には開花します。
- ストローベリーキャンドルは、明治時代に牧草として渡来しましたが、その花の美しさから、主に観賞用として栽培されています。仲間のクローバー(シロツメグサ)などは、生育中の株を、丸ごと土にすき込んで肥料にする緑肥植物として利用されています。
- 近縁種 マメ科シジャクソウ属
- シロツメクサ(Trifolium repens)→アフリカ、ヨーロッパ、アジア原産の多年草。葉丈は、6~20cmで小葉には白色の斑紋がある。茎先に球状の総状花序を見せ、花柄は葉柄より長い。花は筒状の蝶形花で白色。肥料に利用する緑肥植物として栽培されている。開花期は5月~8月。
- モモイロツメクサ(T. repens)→ヨーロッパ原産の多年草。花色の淡紅色の他はシロツメクサと変わらない。
ある程度の冷たい温度に当たらないと花芽を作らない
- 用土(苗の植え付け用)
- コンテナの場合、市販の草花用培用土(元肥無配合のもの)、または赤玉土(小粒)6:腐葉土4:の割合で混ぜ込んだ土を使います。肥料分を含んでいない土を使います。
- 地植えの場合、植え付けの1週間程前に、深さ30cm以上に土を耕して、水はけのよい環境を作るために、掘り出した土に土壌改良用の腐葉土(1㎡当たり1kg)を混ぜ込んでおきます。
- 肥料
- マメ科の植物は、根に根粒菌が共生しているので、ほどんど肥料を施す必要はありません。
- コンテナの場合、植え付けの際には通常のように元肥を施す必要はありません。鉢底石を敷いて、苗を定植後の追肥は、春の3月頃に、少量の緩効性化成肥料を置肥、または規定量の2倍程にに希釈した液肥を施します。その後は生育の様子を観察して、葉色が変色するような場合は同様の液肥を施します。
- 地植えの場合、植え付ける際の元肥と追肥は、ともに必要ありません。
- タネまき
- 適期は、9月中旬~10月です。箱まきかポリポットまきにします。発芽適温は20~25℃です。
- 用土は、赤玉土(小粒)5:調整済みピートモス2:バーミキュライト3:(赤玉土(小粒)、バーミキュライトなどの単体でもよい)などの、清潔性、通気性、排水性、保水性のある用土を使いましょう。
- 箱まきの場合、容器に用土を敷きつめ、新聞紙で覆った上から霧吹きをするなど、事前に土を湿らせておきます。タネをバラまきしたら5mm程の覆土をします。本葉が2~3枚になったらポリポットに鉢上げ(植え替え)します。本葉が4~5枚になり根が回ったら1本立ちにして、その後は花壇やコンテナへ定植します。(移植の際に根を傷めると、その後の根付きがよくないので、ある程度根が張ったら早めに定植する)
- ポリポットまきする場合、1本の苗を育てる場合は、2~2.5号ポリポットに市販の種まき用土か赤玉土(小粒)を入れ、数粒をまいたら5mm程で覆土します。乾燥しないよう水やりをしながら日陰で管理します。弱い苗を間引きながら、本葉が5~7枚になって茎がしっかりしたら、花壇やコンテナに定植します。
- 植え付け
- 適期は、11月~12月です。(2月下旬~3月に市販の苗が流通する)
- コンテナの場合、鉢底石を敷き、「用土」の項目で準備しておいた先程の土をコンテナに入れます。根鉢の根を傷めないように抜き取り、丁寧に植え付けます。根を土になじませて定植したら、植え付け直後にタップリの水を施します。(60cmのプランターで3株が目安)
- 地植えの場合、「用土」の項目で準備しておいた先程の土壌に植え付けます。根鉢の2倍の深さと直径2.5倍の植え穴を掘り上げます。土と根をなじませて定植したら、植え付け直後にタップリと水を施します。株間は30cm程で植え付けます。
- 植え替え
- 一年草扱いなので植え替えの必要はありません。本来は多年草なのですが、日本の夏の高温多湿で枯れてしまいます。
肥料が多すぎると徒長気味になる
- 水やり
- コンテナの場合、土の表面が乾いて白っぽくなったら、株の根元の土に、鉢底から水が流れ出るくらいタップリと施します。
- 地植えの場合、降雨のみで基本的には必要ありません。
- 種の採取
- 花後に、花穂を採取します。枯れるまで放置して、乾燥した穂の殻を取り除くと、ツルッとした実が現われます。紙袋などへ入れて涼しい場所で保存しましょう。適期になったら播きましょう。
- 手入れ
- 防寒対策→耐寒性に優れているので、関東以南の平地であれば屋外での冬越しは問題ありません。凍結する寒冷地では、冬までに丈夫な苗に育てておき、霜除けカバーなどの設置は必要です。
- 病気・害虫→特になし
- 日当たり
- 日当たりと水はけのよい場所を好みます。