タネまきから苗を育てる-No.3 タネをまく場所・容器=床まきをする-イパネマおやじ
- 床まきとは、タネまきをする際に小さな容器に用土を入れてまき床にして、タネをまく方法です。一般的に、苗の生産業界や花の生産農家などで容器にタネまきするのに広く用いられるのが「箱まき」という方法です。これに対して、家庭で少量を栽培する際に用いるのが「床まき」です。容器が小型で手軽に移動できるので、身近な場所に置くことで発芽適温などの温度管理や、水分補給などの管理がしやすいメリットがあります。
- このページでは、植木鉢やセルトレイなどコンパクトな容器を用いてタネまきをする「まき床」の栽培について案内しています。
床まきの種類
- 床まきは、用途に応じて数種類の方法があります。ネットなどで多く見られるのは、「床まき」と「ポットまき」を別分類にしたり、「床まき」と「平鉢まき・箱まき」は同じカテゴリーとして扱うなど多少の違いはありますが、基本は同じです。
- まき床は、タネを育てるベッドの役割をしています。表土は敷き布団で覆土は掛け布団の役割をします。タネにとってフワフワで適度な湿気のある、快適な用土を作り発芽させるための「まき床」を作りましょう。
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- ポットまき
- 少ない数の苗を育てる場合によく使われます。植木鉢やポリ鉢に数粒をまきます。基本的に1つの容器で苗から株立ちまで育てる方法です。移植を嫌う植物は、花壇などへ直まきすればよいのですが、生長するまでに風雨や強風などの環境に耐えられないことも多いので、身近に置いて育てやすい環境で育てるのに適しています。
- 鉢上げをしないで、間引きながら株を1本立ちさせます。一度まいたら鉢上げしないで、その容器のまま苗から生長させて育てます。
ポリポットまき
- 苗を育てるには箱まきやセルトレイにまいて、発芽してある程度の大きさに苗が育ったら、ポリポットに鉢上げ(移植)する必要があります。ポリポットは、ビニールでできたフニャフニャの簡易タイプの鉢です。柔軟性があって狭いスペースにも詰めて数多く置けるので便利なまき床です。このポリポットに直接タネをまいて苗を育てる方法です。指先で数粒だけつまめる程の大きめサイズのタネをまくのに適しています。
- 1本の苗を育てる場合は、2~2.5号ポリポットに市販の種まき用土か赤玉土(小粒)を入れ、数粒をまいたら薄く覆土します。弱い苗を間引きながら(引き抜くと残したい苗が傷むのでハサミで切り取る場合もある)、本葉が5~7枚になって茎がしっかりしたら、花壇やコンテナに定植します。
- この方法の利点は、苗が生育した後に移植する必要が無いことです。まいたタネが生長して丈夫な苗に育ったら、そのまま花壇や鉢などに定植できるので便利ですね。移植を嫌うものや、根が直根性で移植すると傷みやすい植物のタネまきに適しています。
平鉢まき
まき床にタネまきして、ある程度生長したら掘り上げてポリポットや鉢に移植する、鉢上げを行います。平鉢は浅鉢とも呼ばれ、鉢の直径よりも鉢の高さが低い鉢のことで、素焼き鉢や駄温鉢が一般的です。あまり覆土をしない微粒種子などの細かいタネを「バラまき」するのに適しています。少量の苗を育てるのに、場所をとらず身近に置いて管理しやすく適しています。
育苗箱とセルトレイ
- 箱まき
- 箱まきは、ポットまきなどと比べて、多くの苗数を効率的に育てる場合に利用されます。育苗箱と呼ばれる大きめのサイズで、底の浅い容器にタネまきする方法です。
- タネをまいたら、土のどこに着地しているか確認して、重なり合っているタネをピンセットなどで摘み上げて、均一になるように置き直しましょう。発芽した際に、重なっていると、間引きの対象になり無駄になるのを防ぎます。平鉢まきと同様に、まき床にタネまきして、本葉が2~3枚になったらポリポットに鉢上げ(植え替え)します。本葉が5~7枚になり、ポリポットに根が回ったら1本立ちにして、花壇やコンテナへ定植します。
- まき方は「点まき」「すじまき」「ばらまき」の3種類があります。その他、少数で多品種の苗を育てる場合に便利な「セルトレイ」があります。他には「微細種子」を均一にまく場合、少量の用土と混ぜてまくか、タネを厚紙などの上に乗せて、少しずつ落としながらまくなど、丁寧さが必要なまき方もあります。(サイト内 詳細ページ)
まき床を管理する場所
- タネまきが済んで、タネがユックリと生長できるベッドを整えたら、屋内などの発芽適温が保てる場所にまき床を置きましょう。屋外に置く場合、風雨の当たらない軒下などに、園芸ラックや棚などを設置しましょう。(屋外の地面に直置きすると、害虫の被害に合いやすく、地面の温度が伝わりやい)
- 植物には、生育するのに適した、温度や環境があり、春まき・秋まきなど季節による適期が、栽培の手引きに記述されています。しかし厳寒期を除けば、人工的に発芽環境を整えることができれば、タネまき適期にとらわれず、寒い時期や適期以外でも、温室やビニールハウス、室内などで育苗は可能です。極論ですが、生育環境を整えることが出来れば、どんな植物でも一年中好きな時期に育てられると言えます。