クロコスミア 季節の花-夏になると色鮮やかな穂状の花を咲かせる-イパネマおやじ
クロコスミア (montbretia) は、初夏から梅雨入り前になると、長い花穂に濃いオレンジ色や明るい黄色の鮮やかな花を多数つけます。春に球根を植えると、夏~秋に花を咲かせます。草丈は品種により異なりますが、40~150cmで園芸品種の多くは30~50cmです。繁殖力が旺盛で、水はけがよければ土壌は選びません。日当たりは、良い場所がベストですが明るい半日陰でも丈夫に育ちます。
耐寒・耐暑性のある球根植物
- 分類:アヤメ科ヒメトウショウブ(クロコスミア)属 / 原産地:南アフリカ
- 別名:モントブレチア、ヒメヒオウギズイセン(漢字表記:姫檜扇水仙)
- 学名:Crocosmia x crocosmiiflora
- 園芸分類:多年草(球根植物) / 耐寒性(比較的強い)、耐暑性(強い)
- 草丈・樹高:40~150cm(園芸品種は30~50cm)
- 球根の植え付け:3月~5月上旬
- 植え替え:3月~5月上旬
- 分球:3月~5月上旬
- タネまき:果実が熟したらタネを採取したら、すぐに播きましょう。開花までは約3年かかります。ここでは球根か苗の購入をして栽培します。
- 開花期:6月~8月
- 種の採取:果実が結実するのは稀ですが、種ができたら採取します。開花するまでには3年程かかります。
- 栽培方法:地植え、コンテナ(鉢植え、プランター)
- 注:記載している各適期は温暖地(中間地)での目安です。
- 特徴
- クロコスミアは、アフリカ原産のアヤメ科ヒメトウショウブ属の多年草でアフリカ、マダガスカルに分布。国内では、明治時代の中期から栽培されるようになり、里山などの草原で野生化しているのが見られます。ヒオウギズイセン(Crocosmia aurea)とヒメトウショウブ(Crocosmia pottsii)の人工交雑種です。多年草で、草丈60~100cm。球根は直径15~25cm、茎は2~3回分枝する。ほとんど根生して根生葉は茎葉より大きくなる。花茎は長く伸長し、途中で分枝して多くの花と付ける。稀にできる種子は褐色~赤褐色で、長さ3mm・幅2mm程。1880年に作出された品種で、その後当品種を元に作出されたのは、ハイブリッド品種を含めると約400品種にも及びます。
- 南アフリカ原産の植物は、一般的に寒さに弱く花壇に植えた場合は、暖地以北では冬には枯れることが多いのですが、クロコスミアは寒さに強く、暖地以南の平地では地植えでも栽培ができます。植えっ放しでも丈夫に育ち、繁殖力が強すぎる程です。
- 近縁種
- ヒオウギズイセン (Crocosmia aurea)→原産地はアフリカ原産の多年草(球根植物)です。草丈120cm程で、地下に球根を持ち匍匐して茎を伸ばします。基部で茎を作り花茎を伸ばし頂部に枝分かれして花序を付けます。花色は橙色~朱赤色で果実は蒴果、革質で光沢のある黒紫色。花期は6月~8月。
- ヒメトウショウブ(Crocosmia pottsii)→原産地はアフリカ南部原産の多年草(球根植物)で、アフリカやマダガスカルに分布。草丈60~90cm。花序は穂状で花が4~8個、苞は橙色。花色は濃い橙色。開花期は6月~8月。
地下茎があり毎年1個の球根が増える
- 用土
- コンテナの場合、市販の草花用培用土または赤玉土(小粒)7:腐葉土3:の割合で混ぜ込んだ土を使います。(用土に市販の培用土を使う場合、あらかじめ元肥が混ぜ込んである場合があるので、確認してから元肥の調整をします)
- 地植えの場合、植え付けの2週間程前に、深さ30cm以上に土を耕して苦土石灰(1㎡当たり100~200g)を混ぜ込んでおきます。さらに、植えつけの1週間程前に、腐葉土か完熟発酵させたバーク堆肥などを(1㎡当たり2~3kg / 2~3割位の配合比率)混ぜ込んでおきます。(更に水はけの悪い土壌は、川砂などを1~2割混ぜ込む)
- ※植え付けまでに、事前に石灰を混ぜ込んでおけなかった場合は、天然石灰又は有機石灰を使いましょう。(植え付け作業と同時に混ぜ込んでもよい)
- 肥料
- コンテナの場合、基本あまり肥料を必要としません。植え付け時は無肥料にして、春に緩効性化成肥料を少量だけ置肥する程度でよい。多肥になると草丈が伸びすぎて倒れやすくなったり、葉だけが茂り花付きが悪くなります。
- 地植えの場合、肥料はほとんど必要としません。植え付け時は無肥料にして、春に少量の緩効性化成肥料を置肥する程度でよい。
- 球根の植え付け
- 適期は、3月~5月上旬です。
- コンテナの場合、「用土」と「肥料」の項目で準備しておいた先程の土をコンテナに入れます。2~3球ずつを1グループにして植え付け、グループの株間は5cmで深さは5cm程にします。数年かけて大株に育ってくると見応えがあります。
- 地植えの場合、「用土」と「肥料」の項目で準備しておいた先程の土壌に植え付けます。3~4球ずつを1グループにして植え付け、グループ間の株間は20cmで深さは15cm程にしましょう。
- 植え替え・株分け(分球)
- 適期は、3月~5月上旬です。
- コンテナの場合、根詰まりを防ぎ通気をよくするために、2~3年に1回を目安に行いましょう。分球するか間引いて植え替えましょう。球根が増えて株が混みあうと、花つきが悪くなり花数が減ってくるので適宜分球して植え替えましょう。
- 地植えの場合、数年は植えっ放しでも問題ありません。株が過密になって花付きが悪くなってきたら、分球か間引いて植え替えをしましょう。
長い茎先に花序を出し穂状に花を咲かせる
- 水やり
- コンテナの場合、春~秋の間は、土の表面が乾いて白っぽくなったら、株の根元の土に施します。秋になって葉が枯れ始めたら、徐々に水やりを控えて、地上部が完全に枯れたら休眠期に入ったので、水を断ちましょう。冬越しをしたら、春は3月頃から水やりを始め、新芽が出てきたら通常通りの水やりに戻します。
地植えの場合、乾燥が続かなければ降雨のみでよい。
- 手入れ
- 防寒対策→地植えの場合、関東以南の平地であれば屋外での冬越しは可能です。凍結する場所では、株元にマルチングするなどの防寒対策が必要です。寒冷地で地植えしている株は、10~11月中に地中から掘り上げて球根にして冬を越させます。コンテナ栽培で、秋に掘り上げない場合は軒下など霜の当たらない場所へ移動させます。
球根の掘り上げ→暖地以南では掘り上げる必要はなく、多年草のように春に植え替えます。寒冷地では、秋に葉が枯れたら掘り上げて、水洗いをして数日乾燥させたら、新聞紙に包むか紙袋に入れ15~20℃の日に当たらない場所で保存します。春になったら植え付けましょう。 - 間引き→繁殖力が強すぎるので、適宜間引きをして株が増え過ぎないようにします。
- 茎葉の切り取り→秋以降は枯れた茎葉を切り取ります。
- 置き場所→鉢植えは、春から秋は屋外に置きましょう。東向き、または南向きの日当たりのよい場所で、エアコンの室外機の風が当たらない場所。(風に当たるとハダニが発生しやすい)
- 病気→特になし
- 害虫→ハダニ
- 日当たり
- 日当たりのよい場所を好みます。一日3時間程日に当たるか、木漏れ日が射しこむような、明るい半日陰でも丈夫に育ちます。
- 西日や真夏日の直射に当たるのを避けましょう。コンテナを移動してやりましょう。